中国の100万都市もIT普及はすごかった(2/2 ページ)
中国内陸の100万都市で急速に進むIT化。中国の日常生活に浸透するITの実態を、現地を拠点にする山谷氏が肌感覚とともに伝える。
飲食店はIT化が進む
こうした中、ショッピングセンターで元気なのは、消費者が自ら足を運ぶしかないレストランや映画館だ。それらがあるフロアでは、レストランの割り引きはないか、映画が安く楽しめないかと、スマホでクーポンサイトとにらめっこする人々がみられる。キャリアはデータ無制限プランを出しているわけではないが、中国移動(ChinaMobile)の4G(TD-LTE)を利用している人は多く、公衆無線LANスポットを探すことなくスマホを利用している。
消費者が少しでも振り向いてくれるよう、各ショップやレストランは店舗前や店内に2次元コードを掲示している。かざせば店の情報が出るわけだが、それだけではなかなか人々はコードを使わないので、お得なキャンペーンがあることをアピールしてなんとかして店を知ってもらおうとしている。
また多くの店に、「支付宝」と「微信支付」のいずれか、あるいは両方のシールが貼られている。これは、お客側と店側が2次元コードにかざして読み取ることで電子マネーから支払える仕組みの両サービスに対応してますよ、という意味だ。これも今どきは対応していない店舗は時代遅れの感がある。
料理のメニューをチェックしてオーダーできるタブレットをお客に渡すレストランも現れ、またレジにも支付宝や微信支付での支払いに対応したAndroid搭載POS端末が採用されるようになった。またO2O(Online to Offlinje)と呼ばれる、スマホやPCによるフードデリバリー(出前)に対応したレストランもある。個人商店ですら動画視聴やゲームなど暇つぶしも兼ねてPOS PCを導入しており、これからショッピングセンター内の店から個人商店まで、ショップのIT機器のアップデートが進みそうだ。
通信速度は固定・モバイルとも高速化
人々が使うITデバイスがスマホに集中する中、リアルショップでのIT機器販売がケーブルなどの小物を除いて絶滅しているかというと、そうでもない。ADSLやFTTHなどの固定ブロードバンドが高速化し、セットトップボックス(STB)をおまけにつけた、ブロードバンド乗り換えキャンペーンが展開されている。
従来は2Mbpsや4Mbpsプランで利用するのが当たり前だったが、さらに高速な8Mbpsや20Mbpsないしそれ以上のブロードバンドに乗り換えさせるべく、スマートテレビを使ったコンテンツのオンデマンド配信も推進している。マンションの敷地内やスーパーの目立つところにも広告が出ており、「値段は変わらないし、早いそうだから」と、ITにあまり関心がない人も含め多くの人が移行している。
モバイルの4Gも同様に、移行してもお金がかからないことをアピールすることで訴求している。携帯電話ショップは商業地や住宅地のいたる所にあり、そこでSIMカードを入手できるが、特に注文しない限り、中国で標準となった中国移動(China Mobile)の4Gカードだ。端末自体も安く、固定・モバイルともに高速通信の普及が進んでいる。家ではスマホやPC、スマートテレビ、外出先でもスマホと、オンデマンドによる動画視聴が一般化しそうだ。
スマートフォンやPCは行き渡ったが、まだまだ中国人のIT環境の向上は続いている。新しいサービスが突然リリースされては、一気にそれが普及して生活は変
わっていくだろう。
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