零式艦上戦闘機(零戦、ゼロ戦)のテスト飛行が1月27日、海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県)で行われた。離着陸の様子はニコニコ生放送で、「パイロットカメラ」と「地上カメラ」の視点からライブ中継された。
「零式艦上戦闘機 里帰りプロジェクト」と題し、零戦を飛行可能な状態で保存する取り組み。計画を進めるゼロエンタープライズ・ジャパンの石塚正秀取締役が、米国に保有する機体を国内に持ち込んだ。日本人が所有する零戦が国内で飛行するのは、戦後初の試みだという。
初飛行は27日午後に実施。米国のパイロット、スキップ・ホルムさんが操縦かんを握り、プロペラ音を響かせながら、午後2時12分ごろに鹿屋航空基地を離陸。基地周辺を7分ほど旋回した後、同基地に着陸した。
その後も休憩を挟んで、2度目の飛行に成功。機体は28日以降、鹿児島空港に移される。移動後のイベントなどの予定は未定だという。
飛行後の会見で、石塚さんは「ここまで来てみると短い気もする」と安心した表情を見せる。「悲しい運命から生まれた零戦だが……」と前置きしながらも、テスト飛行が「全国の皆さんに何かを考えるきっかけになったのでは」と話す。「今の若い人たちが(当時の日本が)最先端の技術を作っていたことに誇りを持ってくれれば」(石塚さん)。
石塚さんは「零戦の音を聞いている皆さんの表情を見ていると、まだできることがあるのかな」とも意気込む。「零戦に思いをはせる青春時代を過ごした人たちに、1分1秒でもこの音を聞いてもらえるよう」(石塚さん)に、博物館ではなく、国内の基地での動態保存を目指していく。
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