SNSの写真だけで合鍵が作れる――3Dプリンタを使った現実世界の“ハッキング”に注意
3D印刷技術の発展で、SNSにあげた写真から合鍵が作れる時代に。最新の手法をカスペルスキーがブログで紹介し、注意を呼びかけている。
SNSにあげた写真から、合鍵が作られるかも――カスペルスキーは1月28日、3Dプリンタを使って合鍵を複製する、現実世界での“ハッキング”に注意する内容のブログを公開した。
3D印刷技術の進化により、金属工芸やプログラミングの技術、物理的な鍵の入手など、これまで合鍵を作るのに必要だった条件が不要になり、簡単に安価に合鍵を生成できるようになったという。昨年12月にドイツで行われたカンファレンス「32C3」では、3Dプリンタを利用した鍵の偽造方法について報告があった。
最も一般的な鍵システムの1つ、ピンタブラー錠は、写真を元に遠隔で3Dプリントすることもできるという。最近のカメラは解像度が高く、写りの悪い写真でもレプリカを印刷できる恐れがあるとしている。
深い溝のある特殊加工されたバンプキーが必要な「バンピング」という手法を使う際も、金属に比べプラスチック製の方が衝撃を伝えやすく、解錠の音や鍵穴を損傷させるリスクも小さく、優れた選択肢になる。3Dモデル作成と印刷は金属を扱うよりも簡単だ。
3Dプリント技術はマスターキー作成も簡易にしているという。対象となる鍵穴の1つに合う通常の鍵を持っていれば、溝の1つを変形させ、企業や施設内の複数の鍵穴に共通して使える鍵を作成できる――ということだ。鍵のサンプルを複数用意して試行錯誤するには3D印刷で量産するのが適している。
同社は対策として、「鍵は実世界におけるパスワード」とサイバーセキュリティと同様に考えることを提案。「一般的なピンタンブラー錠ではなく、より複雑なロックシステムを選ぶ」(簡単なパスワードは使わない)、「2段階認証を使う」(違う種類の鍵や認証手段があれば安心)、「パスワードを漏らさない」(鍵の写真をオンラインに投稿しない)――などを挙げている。
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