使ってみないとわからなかった、Windows 10 MobileのワイヤレスContinuum
Windows 10 MobileスマートフォンをデスクトップPCのように使えるという、話題のContinuum機能を試してみた。
トリニティのNuAns NEOというスマートフォンを買った。iOSをメインで使っている自分がWindows 10 Mobile端末を買ったほぼ唯一の理由は、Continuumを試したかったから。
Continuum(コンティニュアム)は、Windows 10 Mobileの目玉機能の1つで、外付けのディスプレイに接続すると、アプリケーションがそのスクリーンサイズに合わせて拡大し、マウスやキーボードを併用すれば、デスクトップアプリケーションさながらに使えるというもの。
ディスプレイと接続用のアダプターさえあれば、デスクトップPCは不要になるかも。そんな未来を感じさせる機能に魅力を感じ、国内の製品としては初めてこの機能を搭載したNuAns NEOを入手したわけだ。
まず、この機能を使うためには、別売のディスプレイアダプターが必要だ。端末からHDMIディスプレイに無線で接続する、Miracastという規格にのっとった製品で、ActionTecのScreenBeam Mini2というものを購入。有線で接続する方式のContinuumもあるのだが、それを使えるのは日本未発売でそのまま終わりそうなLumia 950および950 XLのみ。
2月1日の発売初日にNuAns NEOが届いたので、さっそくScreenBeam Mini2で接続してみた。最初はうまく表示できたのだが、その後でWindows Updateをかけると接続に失敗することが続いた。そのことをTwitterで報告していたら、トリニティの星川哲視社長がいろいろとアドバイスしてくれたので、その過程で得られた設定情報もここに書いておこう。
星川社長からの助言は、ScreenBeam Mini2のバージョンを最新版である5.3.9.0にあげること。Wi-Fiは5GHz帯で使うこと。
ScreenBeam Mini2のファームウェアアップデートは、サポートサイトにはちゃんと書かれていないのだが、Windows 10 Mobileに対応した設定アプリ「ScreenBeam設定ユーティリティ(Win 10)」というものがアプリストアにあるので、それを使う。2月11日に発売される、ScreenBeam Mini2 Continuumという製品は、ハードウェア的にはMini2と同等だが、ファームウェアバージョンが最新になっており、これらの設定が不要らしい。
Microsoftの純正Miracastアダプターは2.4GHz帯なので、転送速度において不利で、推奨はされていない。しかし、ジェットダイスケさんのレビューにあるように、動作はするようだ。VAIOが4月に出すWindows 10 Mobile端末もNuAns NEOと同じプロセッサを使い、ワイヤレスでのContinuumをサポートしているが、同じMiracastアダプターを推奨している。
5GHzにしたから安心かというとそうではなさそうで、我が家のようにたくさんのWi-Fiデバイスを使っていると接続に失敗することが多いようだ。Continuumをワイヤレスで使う場合には、不要なデバイスはオフにしておく必要がありそう。
とまあ、いろいろやってみて、最終的にはWindows Updateのトリニティ専用バージョンを適用した後に、なんとか接続できるようになった。
いったん接続すると、NuAns NEOのディスプレイはタッチパッドに切り替わる。これがおもしろい。そういえば、「Continuumって別途マウスやキーボードをつなげる必要があるんでしょ? せっかくタッチパネルあるんだからそれをタッチパッドに使えればいいのに」とかつぶやいていたら、星川社長が、「本体がタッチパッドになりますよ」という返り討ちにあい、購入の決断をしたのだった。
タッチパッドは、必要に応じてソフトウェアキーボードが出て、テキスト入力も可能となる。音声入力もできる。もちろん、Bluetoothキーボード接続もOK。
普通はここでOfficeアプリを使うところだろうが、どれも常用していないので、それ以外のアプリを探してみたら、実用性がありそうなものが見つかった。YouTubeアプリとテキストエディタだ。
Windows 10 Mobileプラットフォームに関しては、大きな弱点が1つある。それは、Googleの不在だ。GmailはOutlookで、ChromeはEdgeで代替できるにしても、それ以外のサービス、たとえばYouTube、Google Play Musicなどのストリーミングメディアはアプリケーションが提供されていない。Amazonも、Kindleは日本向けには対応しておらず、Prime MusicもPrime Videoも同様だ。
Webブラウザで視聴できるものについてはなんとかなるものもあるが、ブラウザではFlashを要求するサイトも多く、動画メディアに関しては、Netflixのみ。
ただ、サードパーティ製のYouTubeアプリはいくつかあって、この1つである「PerfectTube」という無料アプリはContinuumにも対応していて、外部ディスプレイの大画面で視聴ができるのだ。実はMicrosoft提供のYouTubeアプリがアプリストアにあるのだが、単なるEdgeへのリンクでこれもびっくり。
NetflixはContinuum未対応である。Hulu、Amazon Prime Video、dアニメストアはアプリすらないし、Edgeでの再生もできない……。
もう1つ、Continuum対応がわかったアプリが「NotepadX」。こちらも無料。なんの装飾もしない、シンプルなテキストエディタだが、ローカルとOneDriveへの保存に対応しているので、ほかのデバイスと切り替えながら文章を書いていくのにも向いている。OneNoteも自分的にはちょっと重すぎるので、こういうのはありがたい。
Startメニューにタイル表示されているアプリでグレイになっているものは、Continuum非対応。これはわかりやすくてよい。しかし、それ以外の方法ではContinuum対応かどうかは判別できない。アプリストアでも、特別な検索キーワードがあるわけではなく、手探り状態だ。
1つびっくりしたのは、NuAns NEO本体がスリープすると、Continuumの接続が切れてしまうことだ。それはないよな、と思う仕様。
UWP(Universal Windows Platform)で単一バイナリですべてのプラットフォームで動作するという錦の御旗は掲げられているものの、その底辺を支えるモバイルプラットフォームでやるべきことはまだまだ多そうで、その端末を手にしたことにより、その成長の過程を目撃できるという楽しみもあるのではないか、とポジティブシンキングにならざるをえない。
ハードウェアの話を全然していなかったが、ぼくはNuAns NEOでは外装をTWOTONE SUEDE GRAYと同じくTWOTONE SUEDE WHITEの組み合わせにした。デザインを含めたハードウェアとしてはすごく満足している。触感がむちゃくちゃよいのだ。VAIO Phoneという良きライバルも生まれたことだし、これからはおもしろいアプリも登場してくるかもしれないので、iPhoneのアプリ市場が立ち上がったときのようなワクワク感も期待できるだろうか。
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