故hideさんをよみがえらせたのはどの音声合成技術?
1998年に亡くなったhideさんの歌声は2014年、VOCALOIDで再現された。今度は「おしゃべり」まで可能になったわけだが、そこに使われた技術とは?
X JAPANのギタリストで、ソロアーティストとして活躍した故hideさんの合成音声が開発され、iPhoneやAndroidなどでファンとの自由な対話が可能になった。NTTドコモのエージェントアプリ「しゃべってコンシェル」で、2月25日までの期間限定ダウンロードできる。3月11日以降はフル機能の有償版も予定。
1998年に亡くなったhideさんの歌声をVOCALOIDで再現する試みは既にシングル曲「子ギャル」で実現しているが、今回の音声合成は別の技術が使われているようだ。
「通常は、合成音声制作用の収録を行う必要がありますが、hideのしゃべってキャラについては、過去のhideの声を収集し、通常の合成音声のように滑らかな発話を再現」とキャンペーンサイトでは説明している。
YouTubeのドコモ公式チャンネルの投稿説明では「Special Thanks To」として、 エーアイの名前が挙がっている。エーアイはしゃべってコンシェルで使用されている音声合成技術であるAITalkの開発元。hideさんの音声もこの技術を使って再現されているようだ。
病気などで自分の声を失う前に声を残しておきたいという人向けにはAITalkをはじめさまざまな音声合成技術がサービスを提供しているが、故人が残した音声データから作成する音声合成は、2012年に名古屋工業大学がHMM(隠れマルコフモデル)方式で実験的に行った例くらいしか知られていない。
話者適応など少ない話数で合成が可能なHMMとは異なるコーパスベースの合成方式であるAITalkでも故人の音声を再現できるとなれば、大きな前進と言えるだろう。AITalkは商用サービス・ソフトとして提供されているので、故人が残した録音物から音声合成のデータベースを作り出す、故人向け音声合成サービスが一般でも利用可能になるかもしれない。
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