米ヴァンダービルト大学の研究者チームが英Science誌で発表した論文によれば、現代人にみられるうつ病を含む気分障害やタバコへの依存など12の体質は、混血相手のネアンデルタール人から受け継いだ遺伝的形質だという。
旧人類であるネアンデルタール人(旧ホモ・サピエンス)と現生人類の新ホモ・サピエンスは、一気に交替したわけではなく、共存している期間があった。氷河期にあたる5万年ほど前のヨーロッパでは、両者は隣り合って、あるいは混住して暮らしていたと考えられている。その際に混血が起こり、ネアンデルタール人の遺伝形質が現生人類に取り込まれたことは、遺伝子の解析ですでに明らかになっている。
同大学の研究チームは、取り込まれた遺伝形質がどのようなものかを調べた。その結果、うつ病を含む気分障害や、日焼けによって赤斑などが生じる体質、血液が固まりやすい体質、そしてタバコに依存する体質など、現代人に見られる12の遺伝的形質が、ネアンデルタール人に由来することを発見した。
研究チームのジョン・カプラ氏は、「我々は現代人の遺伝子サンプルから、ネアンデルタール人の遺伝子と、免疫学から精神医学にまで及ぶ広範囲な特徴の関連性を発見した」と述べた。
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