昨年8月、ヴァージニア大学を中心とする研究チームのOpen Science Collaboration(OSC)による「心理学・社会科学の研究成果は6割以上が再現不能」という追跡調査が発表され、大きな話題となった。この論文は、英科学誌Scienceの年間で3番目のブレークスルーに選ばれているが、この調査に対し同じScience電子版の3月4日付で発表された論文で、ハーバード大学のダニエル・ギルバート教授らのチームは「OSCの調査は疑わしい」と指摘した。
このチームによるとOSCの調査は、再現実験する地域を間違えている例があったという。人種問題についての意識を調べるために、もともとの実験は米国カリフォルニア州で行われていたのに、再現実験はオランダ人学生を対象に行われた、という例を挙げている。また、どの実験を再現するかについてはOSCが選択したので、そこに恣意性が含まれているかもしれない、とも指摘している。
ハーバード大学のチームは、OSCの論文を貶める目的はないし、OSCも故意に他の研究を否定するつもりではなかった、としている。
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