iPhoneの裏タスク終了はバッテリ節約? Appleの公式見解は
iPhoneやiPadのマルチタスク機能を使わなければ電池が長持ちする? そんなうわさに、Apple幹部が答えを出した。
複数の作業を同時にこなすには、エネルギーが必要だ。iPhone/iPad/iPodが採用しているiOSは、バージョン4から複数のアプリを同時に動作させるマルチタスキング機能が実装された。Twitter公式アプリで書き込みしながらSafariでGoogle検索し、さらに裏で「ミュージック」アプリを再生すれば便利で快適だが、しかしそれは機械に負担をかけ、バッテリを浪費するからやめておこう――そう判断しているiPhoneユーザーは多いようだ。
iOSではホームボタンのダブルタップか画面左端の強押し(iPhone 6s/6s Plus)でマルチタスクが表示され、不要なアプリを上にスワイプすることで強制終了させることができる。
米国のApple専門ニュースサイトである9to5Macの読者が、Appleのティム・クックCEOにマルチタスクとバッテリについての質問メールを出した。CEOから返事はなかったが、iOS開発を統括しているクレイグ・フェデリギ副社長から返答を受け取った。
「iOSのマルチタスキングアプリを終了させることはよくありますか? そして、これはバッテリー時間を伸ばすために必要ですか?」という質問への答えは「No and No」、どちらも違うよ、ということである。
iOS上の複数のアプリは、RAMの中でほとんど動作を停止しており、バッテリを消費しない。順番が来ると一瞬だけ動作するが、iPhoneやiPadのプロセッサは1秒間に何十億の命令を処理するので、人間からはそれぞれのアプリが連続して動作しているように見える。これがマルチタスキングだ。またiOSでは、見えているアプリの他に数十のアプリ(サービス)が動作しており、見えるアプリが多少増えても、ほとんど影響しない。
見えるアプリを数十個同時に立ち上げたら動作が遅くなるが、それは主にRAMの問題で、プロセッサに必要以上の負担がかかっているわけではないので、やはりバッテリには影響しない。
実際のところ、GPSナビや音楽再生をバックグラウンドで動かしているとバッテリの減りは早くなるが、これはGPSユニットやオーディオ再生が思う以上に電力を消費するからで、マルチタスキングとは関係ない。
まとめると、アプリをいくつか開いていても、バッテリ寿命には影響しない。つまり、「裏タスクを閉じてもバッテリ節約にはならない」。仕組みを正しく理解して、道具を賢く使うことが大切だ。
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