どうでもいいようなサービスに名前を登録するとき、「Anonymous(匿名)」とか「Noname(名無し)」とか、適当な名前を入力してしまうことはないだろうか。システムによっては、そうした名前ははじかれる。しかし、真面目に本名を入力したのに同じ扱いを受ける人がいる。英公共放送のBBCが、そんな不運な人々を紹介している。
米国サウスバージニア州に住むJennifer Nullさんは、結婚前に夫から、「僕の姓を名乗ると不幸になるかもしれないよ」と冗談めかして言われたが、気にせず結婚した。しかしその直後から、問題が発生した。航空券を予約しようとすると、ほとんどのシステムから「姓の欄が空白(null)になっています」と警告されるのだ。航空会社に電話したが、問題を理解してもらえなかったり、対処法はないと言われたという。
それだけではなく、政府の納税用ウェブサイトや、引っ越し先での公共料金納付でも同じ問題が発生したという。彼女は代理教師として勤めていたが、そのシフトを決めるためにウェブサイトを使うことができず、電話という時代遅れの方法でやりとりしなければならなかった。「Null」という姓の存在を知って対応しているウェブサイトもあるが、その数はまだ少ない。もっともNullさんは、この話を明るく冗談のように語っている。
本名の入力で苦労しているのは、Nullさんだけではない。米国ハワイ州のJanice Keihanaikukauakahihulihe'ekahaunaeleさんも同じだ。36文字の姓はコンピュータにとって厄介なものだが、他にも同様の例はある。
一部の人は姓がなく名だけを持っているし、アルファベットで1文字だけの姓も存在する。こうした、プログラム設計時に想定されなかった事例は、エッジケースと呼ばれている。
プログラマーのPatrick McKenzie氏は、エッジケースについての問題を指摘しながら、自身の経験を語った。彼の姓名は英米人としては珍しいものではないが、日本で生活していたときに問題が発生したという。ほとんどの日本人の姓は、1文字から4文字の漢字からなる。「McKenzie」は8文字だ。彼はカタカナ表記で妥協したが、銀行のシステムが入れ替わったとき、漢字であるべき(とシステム設計者が思い込んでいた)姓の欄でカタカナがはじかれるようになり、また苦労したという。日本の国際化はこうした面でも求められているようだ。
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