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日本でeスポーツが流行らないのは“おじさんゲーマー不足”? 協会理事に聞く(1/3 ページ)

ビデオゲームなどの腕を競い合う「eスポーツ」。海外で盛り上がりを見せる一方、日本ではいまいち――日本eスポーツ協会の馬場章理事に理由を尋ねた。

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 競技としてビデオゲームやコンピュータゲームの腕を競い合う「eスポーツ」。海外では野球やサッカーと同様に“プロスポーツ”という認知が浸透し、プロリーグやプロチームも存在している。巨額の賞金がかかった大会も開催し、トッププレイヤーが数千万円を稼ぐほどの盛り上がりを見せている。

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eスポーツの競技大会「DOTA2 The International 2014」(米シアトル)の様子。賞金総額は約11億円、約1万7000人の観客が来場した。(提供:馬場教授)

 「海外の盛り上がりと比べると、日本のeスポーツは厳しい状況」――日本eスポーツ協会(JeSPA)で理事を務める東京大学 馬場章教授はこう話す。「日本eスポーツ選手権大会」やドワンゴが主催する「闘会議」など、国内の大会も増えつつあるが、欧米との認知度の差は歴然だ。日本と海外でこれほどまでの差が生まれたのはなぜなのか。

“ガラパゴス化”が進み過ぎた日本のゲーム文化

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日本eスポーツ協会の馬場章理事(東京大学教授)

 「日本でゲームといえば据え置き型ハードが主流。部屋で1人で遊ぶか、家族や友人とプレイするもの」――馬場教授によると、日本が「eスポーツ後進国」となった根本的な要因は、そんな“ガラパゴス化”が進んだゲーム文化にあるという。

 欧米では1970年代に、テレビに接続するタイプのPC「ホームコンピュータ」が登場。各メーカーがこぞって新機種を発売し、激しい価格競争による低価格化が進み、主にゲームなどで遊ぶためのPCとして一般家庭に普及した。

 インターネットに接続でき、チャット機能を備えるといったホームコンピュータの特徴を、欧米のメーカーはいち早くゲームソフトの開発に取り入れた。チャットで知り合った見知らぬ人同士が勝敗を競い合う――という対戦型の仕組みを作り、eスポーツの原型が生まれていった。

 一方、日本では、1983年に任天堂が発売した「ファミリーコンピュータ」がヒット。欧米の影響で日本でも流行し始めていたPCゲームを市場から一掃し、国内メーカーが家庭用据え置き型ゲーム機に注力するきっかけになった。

 その後、国内では任天堂やセガ、ソニーなどが家庭用ゲーム機のヒット作を次々と発売。「ゲームといえば、部屋で1人で楽しむか、家族や友人とのコミュニケーションツールに過ぎない」という考えが定着していった。家庭用ゲームソフトの多くは子どもを主要ターゲットとし、競技性が低いため、eスポーツの源流が生まれなかったと馬場教授は説明する。

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