現在、世界最高の頭脳といえば、英国の物理学者であるスティーブン・ホーキング博士(74)を誰もが思い描くだろう。「車椅子の天才」として知られ難病と闘いながら、マイクロブラックホールの存在やブラックホールの蒸発(ホーキング放射)を解き明かし、世界中から限りない尊敬を集めている。
ところで、Twitterの利用が事実上禁止されている中国で、もっともメジャーなマイクロブログが新浪微博(Sina Weibo)だ。「微博」はマイクロブログを意味する一般名詞だが、中国国内で単に「微博」といえば、新浪公司が運営する新浪微博を指すことが多い。
この一見関係なさそうな、ホーキング博士と新浪微博が、結びついた。4月12日、博士は新浪微博に初めての書き込みを行ったと、AFP通信が伝えている。
微博におけるホーキング博士の第一声は英語と中国語の両方でなされ、「これまで実際の旅では、私はみなさんの(国の)魅惑的な歴史と文化の表面にしか触れることができなかった。しかし、今やこうしてソーシャルメディアを通じて皆さんとコミュニケーションできる。このページを通してもっと私の人生について語りたいし、みなさんの返信からも学びたい」というものだった。そのほかにも、1985年以後の中国旅行の印象や、2006年に北京を訪れたことを述べている。
「万里のファイアウォール(Great Firewall of China)」と呼ばれる中国のネット規制を乗り越えて訪れたホーキング博士に対して、中国のネット民は熱狂した。新浪微博ではこれまでに、米Appleのティム・クックCEOが1年近くの時間をかけて、約82万人のフォロワーを獲得していたが、ホーキング博士は5時間でその記録を抜き去った。そして1日で100万フォロワーを達成してしまったのだ。
「中国ソーシャルメディアにおけるビッグバンだ」「これは歴史的瞬間。宇宙とつながった気分だ」「神よ、たとえ一方通行であろうとも、ホーキング博士とつながっている! 世紀の会話になるだろう」。称賛するコメントは無数についたが、最も高い評価を得たコメントは、博士に対するどの称賛でもなく、「中国のメンツを潰すな」というものだった。「コメントの品格を失わないように。一文一文が、他者が中国に持つ印象を左右するのだ」
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