外国のスーパーマーケットが日本と違って見える理由:あなたの知らないプリンタの世界(2/2 ページ)
異国の日常を垣間見れる場所、海外のスーパーマーケット。食料品や日用品など、並ぶ商品は似ていても、日本のお店とはどこか違った雰囲気を感じませんか。――その秘密は、こんなところにありました。
デジタル印刷で進化するパッケージ
このようなカラフルで機能的なパッケージを支えている技術が、デジタル印刷です。第1回の「痛車はこうしてできている――最新デジタル印刷と職人技のスーパーコラボ」でもお話しましたが、従来の印刷方式はさまざまなタイプの版(はん)が必要なため、色やデザインの変更には時間的、費用的にコストがかかってしまいます。
現在の段ボールの2大印刷手法はフレキソ印刷とオフセット印刷です。フレキソ印刷はゴムを使った凸版印刷です。やさしく高精細に、段ボールに直接印刷できます。オフセット印刷はカタログやチラシなどでも有名。こちらは紙に圧力がかかるので、いったん印刷した厚紙を段ボール紙に貼り付ける形式を取っています。双方とも大量生産には向いていますが、いろんな種類の印刷を少しずつするには不向きです。
ここで、版いらず、小ロットで制作可能なデジタル印刷が活躍します。下の写真にあるように、色違いのやかんの商品を分けて印刷することも可能になるのです。店員にもお客さんにも識別しやすく、きれいですね。パターンが多く、デザインの豊富さが魅力になるご当地物や限定品などへのパッケージ印刷にもデジタル印刷が最適です。
段ボールへの印刷は、巨大なインクジェットプリンタで行います。家庭やオフィスにあるプリンタとはずいぶん趣が違います。
ここまで海外の事例の紹介をしてきましたが、デジタル印刷を駆使したカラフルな段ボールを活用する動きは、日本でも出てきています。日本最大の段ボールなどの包装資材会社・ダイナパックが最新デジタル印刷機を導入し、あらたなチャレンジが始まっているのです。
世界で広がる、デジタル印刷によるカラフルでおしゃれな新世代段ボール。日本のスーパーマーケットのスタイルを変える日も遠くないかもしれません。
著者:霄洋明(おおぞら・ひろあき/Hiroaki Ozora)
日本HP大型プリンターエバンジェリスト。ワイドフォーマット事業本部に所属し、大型のインクジェットプリンターのソリューションアーキテクトを担当。
東京都中野区出身。学生時代は総合格闘技と彫刻(木彫・塑造)に熱中。大型インクジェットプリンタ黎明期ともいえる1996年頃にアルバイト入社した画材店で大型プリンタと出会う。
その後、広告代理店で、屋外/交通広告・商業施設装飾・サイン計画などに関わり、企画ディレクション・制作施工管理を経験。2010年より 日本HPに入社。デジタル印刷を活用したサイン・ディスプレイとインテリアデコレーションの企画・制作・施工の知見を生かし、HP Latex・UVプリンタ(業務用大型プリンタ)の市場・用途開発を担当。現在は、デジタル印刷技術によってサイン・ディスプレイ業界、インテリア業界、印刷業界をつなげるハブとなってお客様の事業領域拡大を支援することがテーマ。
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