戦隊ヒーローに変身できそう? 腕にセットする“装着型プリンタ”が物流現場を変えている:あなたの知らないプリンタの世界(2/2 ページ)
右腕にセットされた見慣れないガジェット。まるで戦隊ヒーローに変身できそうな見た目ですが……? 実はこれ、装着型のインクジェットプリンタです。どんな場所で活躍しているのでしょうか。
今やほとんどすべての商品パッケージについているバーコード。1940年代の終わりに発明され、60年代後半にアメリカのスーパーマーケットで実用化されたといわれています。
バーコードはスキャン(読み取り)と番号の割りあて(ひも付け)で成り立っています。商品の属性などの情報管理をより効率よくするためのものです。シンプルな線と余白の構成で成り立つデザインは、スキャン(読み取り)も簡単。多少斜めでも動いていても正確に情報を読み取ることができる優れた仕組みです。バーコードの他に、QRコードや製造年月日・消費期限の高速印刷はなくてはならないものになっています。
解像度(dpi)は高いほうがいい?
冒頭にご紹介した装着型プリンタのプリントヘッドは最新式で1200×600dpi。「dpi」という単位は印刷物のきめ細かさを表すもので、1インチ(2.53センチ)の幅に何個のドット(点)があるかを示すものです。聞きなじみのない方も多いでしょうか。
プリンタの心臓部とも言えるインクを吹き出すノズル(プリントヘッド)は日進月歩。各社が高画質、高速化を目指して開発し続けています。2016年のいま、家庭用のプリンタでも4800dpiといった、とても高精細なプリンタが多くなっていますが、80年代から30年以上に渡り売れ筋のロングセラー製品もあります。プリントヘッドの解像度は96dpi。結構な荒さですね。ほとんど壊れない頑丈な作りで、シンプルなバーコードの印刷などに長く愛されています。
バーコードは入学試験などマークシートにも使われています。試験の後に、マークシートの解答用紙はスキャナーにかけられますが、誰の解答用紙か、スキャンしたデータとマークシート原本をひも付けないといけません。読み取った解答用紙と読み取りデータがバラバラになってしまっては大変です。スキャンと同時に解答用紙に読み取ったデータのシリアルナンバーを印刷することで、間違いを防いでいます。
高速のインクジェットプリンタは他にも、学生証のバーコードの印刷、小切手のナンバリングとサインなどにも使われています。小切手の管理では高感度スキャナーを用いた真贋判定も組み込まれ、オールインワン・プリンタが活躍しています。
いずれも正確に番号を振り、その情報の収集・活用が求められるシーンです。一見「普通」に感じられるところにも、プリント技術が活用されているのです。
著者:霄洋明(おおぞら・ひろあき/Hiroaki Ozora)
日本HP大型プリンターエバンジェリスト。ワイドフォーマット事業本部に所属し、大型のインクジェットプリンターのソリューションアーキテクトを担当。
東京都中野区出身。学生時代は総合格闘技と彫刻(木彫・塑造)に熱中。大型インクジェットプリンタ黎明期ともいえる1996年頃にアルバイト入社した画材店で大型プリンタと出会う。
その後、広告代理店で、屋外/交通広告・商業施設装飾・サイン計画などに関わり、企画ディレクション・制作施工管理を経験。2010年より 日本HPに入社。デジタル印刷を活用したサイン・ディスプレイとインテリアデコレーションの企画・制作・施工の知見を生かし、HP Latex・UVプリンタ(業務用大型プリンタ)の市場・用途開発を担当。現在は、デジタル印刷技術によってサイン・ディスプレイ業界、インテリア業界、印刷業界をつなげるハブとなってお客様の事業領域拡大を支援することがテーマ。
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