「自分の視界が他人に見られている」――奇妙な「視点交錯おにごっこ」で見えるものは?:東京ゲームショウ2016
参加者全員の視覚がつながることで、自分の知覚や能力が拡張されたような状態を体験できる「Parallel Eyes」プロジェクトを見てきた。
敵の視覚をジャックして戦う――映画やゲームで見たような特殊能力「SUPERCEPTION」(超知覚)を体験できる「Parallel Eyes」プロジェクトを、ソニーコンピュータサイエンス研究所と山口情報芸術センターが東京ゲームショウ2016(千葉・幕張メッセ、9月15〜18日)に出展している。
Parallel Eyesの1つである「視点交錯おにごっこ」は、4人が同時にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して遊ぶ“未来の鬼ごっこ”。HMDには全員分の視界が4分割で表示され、「自分の背中を他者の視点から見る」「自分の視点が他人にも見られている」といった奇妙な感覚を味わいながら鬼ごっこを楽しめる。
鬼ごっこは、パーティションで迷路のように仕切られたミニブース内で行う。他人と視界を共有している状況に混乱してしまう人がいる一方、うまく順応して能力を使いこなす人もいるという。来場者がプレイしている様子を見せてもらうと、確かにすぐ歩き回れる人もいれば、立ち止まって確認を繰り返す人もいた。
さらに、HMDに表示される分割画面の位置をシャッフルしてみると、プレイヤーは自分の視界がどこに表示されているのか確認しようと、手を目の前に差し出したりいろいろ試行錯誤する様子が見て取れる。だが、4人全員が同じように動くので余計混乱してしまう、といった面白い状況が生まれるそうだ。
Parallel Eyesのテーマは単なるエンターテインメントではなく、視界を共有している人の知覚やコミュニケーションの変容を明らかにすることだという。同プロジェクトには鬼ごっこのほか、今回は展示していないが視覚を共有しながら遊べる「神経衰弱」や「うろおぼえがき」などが含まれているという。
「将来的にウェアラブルテクノロジーが発達すれば、1人の視界を複数の人物が見ているといった状況が多く生まれるはず。そのときのコミュニケーションを考えるきっかけになれば」と山口情報芸術センターの菅沼聖さん(主任エデュケーター/教育ラボ・地域開発ラボ)は話す。
出展者によると、アミューズメント系の企業から「この仕組みを取り入れたい」という声もあるという。近い将来、一般施設でも楽しめる日が来るかもしれない。
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