日本と海外でキーボードが全然違う!? PCローカライズに込めた熱い思想:“中の人”が明かすパソコン裏話(5/5 ページ)
メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。今回は、日本語配列キーボード開発に込められた「日本ならではのこだわり」に迫ります。
また、文章を書くときに私がよく使うのが「home」「end」と書かれたキーです。homeはその行の先頭に一瞬でジャンプし、endはその行の最後にジャンプします。このキーが独立して配置されているか、カーソルキーの左右にFnキーとの組み合わせでマップされていると、重宝します。
例えば、ある1行を全部「カット」してどこかに「ペースト」したいときは、Home、Shift+End、Ctrl+x、Ctrl+vで操作します。マウスやトラックパッドを使わずキーボード操作だけで完結するので、文章を素早く書き上げるときに便利です。
さらに言えば、Fnキーと他のキーを組み合わせて押す場合は、配列上使いやすい位置関係になっているかも重要です。見逃しがちなポイントではありますが、注意して見ていただくと、長く付き合える良い買い物ができるのではないかと思います。
最後に、私がキーボードのローカライズを行うに当たって最も大切にし、こだわっていることをご紹介しましょう。それは、キー配列の全体を見たときに、全ての配列に変な“無理やり感”やバラツキがなく「美しさ」が存在していることです。
これはなんと表現したらよいか分かりませんが、キー配列を何度も原寸大の紙に出力し、遠くから見たり、近くから見たり、タイピングのシミュレーションをしてみたり、1つ1つのキーの調和を見たりして、最終的に配列を決めています。
このような裏話をお伝えすると、お客さまがキーボードを見る目も厳しくなりそうですが、PCを購入するという体験がより素晴らしいものとなるよう、継続して工夫と改善を取り入れていきたいと思っています。そんな決意を新たに、キーボード編を締めさせていただきます。
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