パソコン界のテスラ!? 一度使ったらやめられない「ファンレスPC」の設計テクニックとは?:“中の人”が明かすパソコン裏話(2/3 ページ)
メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。今回は冷却ファンを搭載しない「ファンレスPC」の魅力について紹介します。
実際にIntel Core Mプロセッサの演算性能を比較すると、主要なCore iプロセッサと同等の性能を実現しており、処理能力については心配ありません。また、ファンレスPCはストレージに従来の「HDD」ではなく高速なフラッシュメモリを備える「SSD」を採用することが多く、プロセッサの性能以上にトータルでキビキビとした動作を体感できます。
CPUは非常に高速なサイクルで動いています。ところが、HDDは非常に遅いのでCPUはデータを取り出し終わるまで待機していることが多いのです。SSDであれば、その待機時間を少なくできるというわけです。
ここに速度を距離に例えた面白いデータがあるので紹介します。1つの荷物(データ)を運ぶとします。プロセッサは1メートルの範囲内でヒョイヒョイと仕事をこなしますが、HDDは速度が極めて遅いため、距離に換算すると約1万キロ(成田からワシントンDCまで)の途方もないはるか遠方から荷物を持ってこなくてはなりません。SSDであれば都心から福島県会津若松市にある猪苗代湖までの距離です。それでもまだ遠いと感じますが、HDDの約50倍も高速です。これがキビキビとした動作の秘密です。
私が仕事で使っているのも、SSDかつCore m5プロセッサを搭載したファンレスPCです。同時にExcelで数千から数万行に及ぶファイルをいくつか開きながら、メールやWebページを複数開き、パワーポイントで資料作成、AdobeのアプリケーションでフルHD動画のエンコードや写真編集、そしてSkype for Businessでオンライン会議といった作業を同時並行で行いつつ、フルHDの外部ディスプレイ2台に表示していますが、今まで特にストレスを感じることなく快適に作業できています。
ファンレスPCの魅力はデザインにも現れる
ファンレスPCにおける最も重要なメリットは自由なデザインにあります。ファンがあると、側面または背面に排気口が必要となるため本体設計の自由度が下がってしまうのです。さて、あなたがノートPCを設計するとして、排気口を配置するとしたら左右どちらが適切だと思いますか?
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