Apple、自動運転車プロジェクト継続か──交通当局に書簡
9月には縮小のうわさもあったAppleの自動運転車プロジェクト「Project Titan」(仮称)はまだ継続しているようだ。米運輸省の全米高速道路交通安全局(NHTSA)が公開したAppleからの書簡には自動運転車実現に向けて当局や他のステークホルダーと協力していくと書かれている。
米Appleは、自動運転車プロジェクト「Project Titan」を継続しているようだ。同社が米運輸省の全米高速道路交通安全局(NHTSA)に提出した11月26日付の文書に、「機械学習と自動化の研究に大きく投資しており、輸送機関を含む多様な分野での自動システムの可能性に夢中になっている」という一節がある。
NHTSAは、自動車や運転者の安全を監視する米国運輸省の部局。同局が公開した文書(リンク先のダウンロード可能なPDF)はマーク・ローズカインド長官宛の5ページにわたる書簡で、差出人はAppleの“製品整合性(Product Integrity)”担当ディレクター、スティーブ・ケナー氏。
ケナー氏は、当局はすべての自動運転車メーカーが発展できるような公平な環境を作り、新規参入メーカーも先行メーカーと同等に扱うべきだと進言した。
また、NHTSAの現行のガイドラインがメーカーに対して互いに安全情報データを共有するよう求めていることに懸念を示した。安全のためにデータを共有することには賛成だが、ユーザーのプライバシーの保護が最優先であり、参入メーカーはすべて、プライバシー保護のために必要なリソースに投資すべきだと主張する。
ケナー氏は書簡を「Appleは、自動運転車がもたらす目覚ましい社会的利益を安全かつ迅速に実現するためにNHTSAおよび他のステークホルダーと協力していくことを楽しみにしている」という言葉で締めくくった。
Appleが自動運転車を「Project Titan」というプロジェクト名で開発しているといううわさは今年2月ごろからあったが、9月には同プロジェクト縮小のうわさが立った。
今回の文書からはAppleがハードウェアとしての自動車を開発しているのか、ソフトウェアシステムを開発しているのかは分からないが、少なくとも自動運転事業から撤退してはいないことは、ほぼ確実だろう。
関連記事
- Apple、3期連続の減収減益 iPhoneの販売台数は5%減
Appleの7〜9月期の決算は、主力のiPhoneの販売台数が5%減で、総売上高は9%減、純利益は19%減の減収減益だった。iPhoneの新モデルの発売は期末の2週間前だった。 - Apple、自動運転車事業「Project Titan」を再考か?──New York Times報道
Appleが密かに進めているとうわさの自動運転車事業「Project Titan」で数十人のレイオフを行い、プロジェクトを“再起動”するとNew York Timesが報じた。車両設計・製造ではなく自動運転技術構築にシフトするという。 - Appleの電気自動車事業からBMWとDaimlerが撤退?
Appleは、「Project Titan」で進める自動運転機能付き電気自動車開発プロジェクトでBMWおよびDaimlerと交渉していたが、プロジェクトの主導権と顧客データ収集をめぐって対立し、決裂したと独メディアが報じた。Appleはカナダの自動車OEM企業Magnaと交渉中という。 - Appleの自動運転車プロジェクト「Project Titan」を裏付ける文書発覚
Appleの自動運転車「Project Titan」は既に走行テストの段階にあると、英GuardianがAppleからシリコンバレーにある交通公社に宛てた公文書を入手したとして報じた。 - Apple、日産やトヨタで品質計画関連幹部歴任者を採用 自動運転車担当か
Appleが、日産、トヨタ、Chrysler Groupで自動車の製品サービス品質関連幹部を歴任したダグ・ベッツ氏を採用したことが、同氏のLinkedInで明らかになった。同社は自動運転車を開発中とうわさされている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.