「NAVERまとめ」が新方針 “キュレーションサイト問題”受け「まとめ作成者の信頼ランク」採用へ
まとめ作成者に評価制度を設けることで発信者の責任を重くするほか、1次コンテンツ作成者に利益配分する仕組みも検討する。
キュレーションサイトに不適切とみられる記事が掲載され、各社で記事の非公開化が相次いでいる問題を受け、LINEは12月5日、同社が運営するキュレーションサイト「NAVERまとめ」の新方針を発表した。まとめ作成者を評価ランク付けする仕組みや、引用元のコンテンツ権利者に利益配分する仕組みなどを新設し、2017年度中の運用スタートを目指す。
1つ目の施策として、まとめ作成者に評価を与える「オーサーランク」を適用する。LINE IDによる認証状況や、作成者の活動履歴などを基に運営側がランク付けし、ランクが高い作成者のまとめほどページ上位に表示する仕組みなどを用意する。
まとめページ内で引用されるWebサイトの権利者に利益を還元する仕組みも用意。権利者が、サイト全体や個別ページのURLを「1次コンテンツ」としてNAVERまとめに登録できるようにし、運営側の審査・承認後に「コンテンツの利用可能範囲」を設定できるようにする。登録済みのサイト内コンテンツがNAVERまとめで紹介された場合、貢献度に応じて権利者にもインセンティブを還元する方針だ。
同社の島村武志さん(上級執行役員 メディア担当)は「これまでもNAVERまとめで紹介された1次コンテンツ作成者側の立場に配慮するよう努めてきたが、(1次コンテンツ作成者にとって)送客・収益面でのメリットが不十分であり、まとめ作成者側の利点が大きかった」とし、今回の新方針で改善を目指すと話す。
コンテンツ内容については、これまで通り運営側でも事実に基づき信頼度を判断する一方、新制度でまとめ作成者の責任を重くする考えだ。
「今回の事件で、あらためて考えるきっかけとなった」
11月下旬、ディー・エヌ・エー(DeNA)の医療情報キュレーションサイト「WELQ」に「不正確な情報が掲載されている」「他メディアからの無断転載をみられる内容が多い」などの指摘が相次ぎ、同社はWELQを含む9メディアの全記事を非公開に。この流れを受け、サイバーエージェントが運営するキュレーションサイト「Spotlight」、リクルートの「ギャザリー」もそれぞれ一部の記事を非公開化。“元祖キュレーションサイト”とも言えるNAVERまとめの動向にも注目が集まっていた。
島村さんは「新方針で示した内容がこれまでできなかった理由は難易度。非常に労力がかかり、コストもかかる。大きな見返りがあるわけでもないが、NAVERまとめはコストがかかってもやりたい事業。今回の事件であらためて考えるきっかけになった。インターネットが信頼されて豊かな社会が実現することを目指すために、本気で取り組む決意をしたい」と話す。
他社が運営するキュレーションサイトでは、内容が不適切と思われる記事を“自主的”に一斉削除する動きが強まっている。一方、島村さんはNAVERまとめに掲載されている記事を今すぐ削除することはないと説明する。
同社が理想とするキュレーションサイトは「自分の価値観にあう検索結果が得られる」というもの。例えば「ラーメンが食べたい」という検索ニーズにも「本格ラーメン」「彼女とラーメン」「子どもとラーメン」というようにさまざまだ。「これまでのロボット検索では、『美味しいラーメンランキング』といった“同じ評価軸”でしか結果を得られない」(島村さん)と説明する
「NAVERまとめの記事はガイドラインに沿って掲載されたもので、今すぐ削除といったものはない。削除してしまったら基準自体に問題があることになる。基準の見直しは順次行っているが、そもそもNAVERまとめはメディアではなく、あくまでプラットフォーム。ユーザーが自由にまとめを作れるもので、法令順守のガイドラインを除き、内容に関して指示を行うものではない。しかし課題がないとも思わない。今後も改善を続けていきたい」(島村さん)
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