「8割の記事に問題があった」 DeNA、非公開化した全サイトの運営体制精査へ 南場会長「もう一度会社を作り直す気持ちで」(2/2 ページ)
運営するキュレーションサイトの全記事を非公開にしたDeNAが今後の方針を説明。第三者調査委員会による原因究明と対策を急ぐ。
他サイトからの引用を前提とするキュレーションサイト事業について、著作権的リスクを指摘する声もある。守安社長は「法的なところやモラルにおいて反省するべきところはある。食べログやクックパッドといったサービスがあるように、適切なユーザー、社会に認められるやり方ができれば、ポテンシャルがある事業だと考えていた」という。
守安社長は「スマートフォン上でターゲットを定めて情報を届けるメディアは、ユーザーニーズが高いと思っている。そのニーズに対して適切な体制と内容で届けることができれば、事業として成立すると考えている」としつつ、「第三者委員会の報告によってどうするか変わるので、今後も考えていく必要がある」と慎重な姿勢を示した。
南場会長「もう一度会社を作り直す気持ちで」
守安社長と並んで会見に出席した南場智子会長は、「直接お詫びを申し上げるために出席した。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪。企業内のリスク管理機能や問題是正機能を強化する方針を示した。
「さまざまな過ちはゼロにはならないが、速やかにチェック機能を働かせて管理・監督できるようにしておくことが一流企業のあり方。組織文化や風土の前に、自ら過ちに気づき、是正していく機能を徹底的に強化すべきだと考えている」
「今回、キュレーションメディア事業のみが取りざたされているが、他の事業部において不適切な運営や業務があったら是正される仕組みは整えている。それなのに今回なぜ、外部からの指摘やお叱りを受けるまで是正できなかったのか、その点は改善しなくてはいけない」(南場会長)
守安社長は、経営責任を明確化するため月額報酬を6カ月間30%減額すると発表しているが、その後も社長兼CEOを続投する意向。「世間の皆様に納得いただけるよう、解決して事業を元に戻すことが私の責務だと思っている。信頼を回復して企業を成長させていきたい」と話した。
これに対し、南場会長は「DeNAはルールを守ることを軽視していたわけではなく、私自身も問題が起きる前から守安とさまざまな議論を重ねてきた。私の認識として、守安はコンプライアンスを重視する精神が非常にあると思っている。しかし、法律順守の指示が現場に反映されているかの確認に、どれほどの時間を使っていたか、考え方と確認のバランスに欠けていたように思う」とし、今後の経営体制については「私の一存で決められることではないが、(守安社長の)続投を期待している」と話した。
「ルールを守って事業を成長させるのは当然のこと。これまでも徹底していたと考えていたが、残念。もう一度会社を作り直すという気持ちでやっていきたい」(南場会長)
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