異色の“走るプロジェクターロボ”「Tipron」発売 変形ギミック搭載 「家中の壁をディスプレイに」
プロジェクターを搭載し、投影場所まで自走するホームロボット「Tipron」をCerevoが発売。移動時と投影時で、まるでロボットアニメのように変形する機能を備える。
Cerevoは12月9日、プロジェクターを搭載する自走式ホームロボット「Tipron」(ティプロン)を発売した。ロボットの姿で映像の投影場所まで自走して「投影形態」に変形するギミックを搭載し、「家中の壁や天井をディスプレイに変える」という。価格は22万9800円(税別)。12月中に出荷を始める。
壁や床、天井などに映像を投影できるロボット。本体に搭載したカメラと深度センサーなどで現在地を把握しながら、映像の投影場所まで「移動形態」で自走し、到着すると「投影形態」に変形。ユーザーが自ら動かさなくても、さまざまな場所に移動して画像や映像を映し出せる。
プロジェクターの解像度はHD(1280×720ピクセル)、最大輝度は250ルーメン。3メートル先から最大80インチの画面を投写できる。台形補正やオートフォーカス機能も搭載。5ワット型のスピーカーを内蔵し、映像に合わせて音声も再生できる。
ロボット本体を動かさず、プロジェクター部分だけを上部と左右それぞれ90度、下方向に35度向きを変えられるほか、時計回り・反時計回りに最大90度回転させ、映像を縦長や斜めに映すこともできる。
操作は専用スマートフォンアプリ(iOS/Android)から手動で行うほか、あらかじめ場所や時間、再生するコンテンツを指定し、自動で移動・投影させる機能も搭載。例えば、毎朝午前7時になるとリビングルームの壁まで移動し、ニュースの映像を映す――などの使い方ができる。予約したスケジュールを終えると、自ら充電ステーションに戻る仕組みも備えている。
充電時や移動時は高さ約40センチとコンパクトで、転倒したり障害物と接触したりしにくくしたという。投影時の高さは約80センチ。
本体にAndroid OSと米Qualcomm製のCPUを搭載し、プロジェクター背面にはHDMI(HDCP対応)ポートとUSBポートを1基ずつ搭載。PCやDVD/Blu-rayレコーダーのほか、 Google Chromecast、Amazon Fire TVなどのメディアストリーミング端末のコンテンツ、USBメモリに保存した動画なども再生できる。Wi-Fi経由でネット接続すれば、YouTubeの動画を再生したり、RSSリーダー機能を使ってニュースコンテンツなどを表示したりできる。
出荷時は5900mAhのバッテリーを1本内蔵し、連続稼働時間は約2時間。別売りのバッテリー(税別1万3800円)を購入して計2本搭載すれば、稼働時間は約4時間に延びるという。本体サイズは、変形前が300(幅)×340(奥行き)×420(高さ)ミリ、変形後が300(幅)×330(奥行き)×810(高さ)ミリ。重さ約9.5キロ。
「ロボットといえば変形」 安易な発想からスタート
「家の全ての壁が液晶ディスプレイに」――そんなSF映画にありそうな光景を再現するためにTipronを開発したと、Cerevoの岩佐琢磨社長は話す。「壁を全て液晶ディスプレイにするのは現実的ではないが、プロジェクター自体が動いて、いま見ている壁だけに映像を映せばよいと考えた」。
その上で重視した機能が「変形」だという。岩佐社長は「開発当初は『ロボットといえば変形』という“頭の悪い”発想から付け加えた機能だった」としつつ、実用的なメリットもあると説明する。「実際に背が高いロボットを家に置くと存在感があって、夜中に帰宅したときに突然目に入るとびっくりする。使わないときは存在感を薄くできるところに、変形のメリットを見出した」。
「Tipronは、これまでで最も時間と労力を割き、社運をかけた製品。スタートアップだから難しいハードウェアは作れないという固定概念にとらわれず、より難しい製品を投入し、世の中をあっと言わせたい」(岩佐社長)
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