「科学技術振興予算は今後、増えない」と河野太郎議員 研究者に「現実直視を」
衆院議員の河野太郎氏が、「科学技術振興予算は今後、増えません」と断言。「予算をもっと増やしてほしい」との要望を受け、「現実を直視していただきたい」たしなめている。
日本の科学技術予算について昨年からブログで発言・調査を続けている衆院議員の河野太郎氏が、「科学技術振興予算は今後、増えません」と1月9日付けのブログで断言した。「予算をもっと増やしてほしい」との要望を受け、「現実を直視していただきたい」たしなめている。
河野氏は昨年11月ごろから、科学技術関連予算についてブログでたびたび発信。研究者から予算の現状などについてメールで意見を求めるなどヒアリングも続けている(関連記事)。
9日に公開されたブログによると、「細かいことはよいから科学技術振興予算をもっと増やしてほしい」という要望が昨年末に届いたという。だが、科学技術振興予算の増額は「幻想」と切り捨て、「科学技術振興予算は今後、増えません」と断言した。
その背景として、赤字国債を出さずに当初予算を組めた最後の年・1990年度(平成2年度)の当初予算と、2016年度(平成28年度)の当初予算を比較。税収は58兆円から57.6兆円と微減する一方で、社会保障費は11.6兆円から32兆円と2.8倍に増加。科学技術振興予算も4755億円から1兆2929億円と2.7倍に増えており、「社会保障費並みに伸びている」と指摘する。
政府が目指す2020年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)均衡の実現には、歳出の抑制・削減が必要になるとし、「高齢化による社会保障の自然増をどう抑えるかという議論をしている中で、科学技術振興予算を増やせるというのはまったくの幻想」と断言。「ないものねだりをするのではなく、限られた資金をどう効果的、効率的に使って最大限の成果を生むかを考えていかなければならない」としている。
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