米カリフォルニア州サンディエゴで25年前に発掘されたマストドンの化石によって、北米の歴史が書き換えられるかもしれない。
英科学誌Natureで4月27日に掲載された論文「A 130,000-year-old archaeological site in southern California, USA」によれば、南カリフォルニアのマストドン発掘現場が人類拡散の歴史を塗り替えることが明らかになったという。
その証拠となるのが1992年にサンディエゴ近郊の建設現場で発見されたマストドンの化石だ。このマストドンはサンディエゴ自然史博物館に所属する発見者、リチャード・セルッティ氏にちなんでセルッティ・マストドンと呼ばれている。
骨の破片を再構成するのに22年を要したが、考古学者たちは奇妙なことに気づいた。ピースがうまくはまらなかったり、破損していたりするものが多かったのだ。セルッティ氏はそこに人類の痕跡が残されていると考え、研究が進められていった。
骨の破損パターンは他の動物によるものではなく、ハンマー状の道具を使ったものだということが検証され、マストドンの骨粉砕に使われたと思われる大型石器の破片も周辺から発見された。
セルッティ・マストドン化石はおよそ13万700年(±9400年)前と測定されている。
北米に人類が移り住んだのは1万4000年前というのが定説になっているが、このマストドンに加えられた破損が人類によるものだとしたら、北米における人類の歴史は大きくさかのぼることになる。
マストドンと関わった人類はどのような種だったのか。彼らはどこから来てどこへ行ったのか。
「これは物語の終わりではない。始まりなのだ」と博物館のドキュメンタリービデオは締めくくっている。
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