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“メイドインジャパン”は本当に高品質か? 製造国の表記に隠された理由とは“中の人”が明かすパソコン裏話(1/2 ページ)

メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。今回は「製造国の表示」について語ります。外資系メーカーによる日本生産プロジェクトの裏話も。

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 こんにちは、日本HPでPCの製品企画を担当している白木智幸です。この連載では、PCの周辺機器やPCパーツ、サポートの秘密、そして次世代のPCなどを広く紹介してきました。今回は、よく見かける「メイドイン○○」で知られる“製造国”の秘密に迫ります。

 一時期、テレビやニュースで海外からの旅行者が「日本製」の家電を求めて家電量販店へ押し掛ける出来事が話題になりました。メイドインジャパン──高品質の象徴ともいえるキーワードとして、製品に付いているだけで安心できるブランドの強さを感じます。

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 製品を製造した国を「○○製、MADE IN ○○、Product of ○○」として表記しますが、日本製と書かれている製品であっても、内部で使われている部品は必ずしも日本製ではないことをご存じでしょうか。

 さまざまな国で作られた部品を組み合わせて製品になっているのに、どの時点で日本製になるのか、どんな基準があるのでしょうか。

日本製の表示は「〇〇」の為にある…

 海外から農作物を輸入する場合、原産国に応じた税率で「関税」がかかります。製造国の表記を考えるときに、「貿易」という言葉が大きく関係します。例えば、米や小麦といった農作物は育った土地がすなわち「原産国」(製造国)になるのでイメージがしやすいでしょう。

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 テレビやニュースでTPP交渉の話題を見聞きする機会も多いと思いますが、関税はその国の産業を守ったり、育てたり、国の豊かさに関わる重要な要素であることは認識の通りかと思います。ときには貿易摩擦に発展するくらい重要な要素になっています。

 当然、関税が高い場合は商品に上乗せされますから、どうしても商品自体の価格が高くなります。

 いかに関税がかからないようにするか──原材料をFTA(自由貿易協定)などで関税がかからない国に一時移動し、そこで最終加工して輸出すれば、関税がかからないのではと考える人もいるでしょう。

 しかし、こういった抜け道があっては関税という機能がその目的を果たすことができないことは言うまでもありません。そこで複数の国で製造された製品は、最終製造品が元の材料から大きく変化している場合(実質的変更)に、製造国の変更を認められるとされています。

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 PCの場合も、部品を組み立てただけでは原産国としては認められず、実質的な変更が行われた場合に晴れて日本製とすることができます。

 このように見ていくと、実は“メイドインジャパン”といった製造国の主な役割は関税対策による原産国表示が主な目的であり、一般的な理解である「高品質」からは少し離れたところにあるのです。

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