中国・浙江省(せっこうしょう)で5月23日(現地時間)から開かれている「The Future of Go Summit」で、囲碁世界レーティング1位の柯潔(カ・ケツ)九段と、米Google傘下DeepMindの囲碁AI「AlphaGo」の対局が行われた。第1局は、AlphaGoが半目差(1/4子)で勝利した。勝負は3番勝負で、第2局は25日、第3局は27日に行う予定。
AlphaGoは2016年5月に世界トップ棋士の李世ドル九段との5番勝負で4勝1敗し、16年末から17年にかけてはオンライン囲碁ソフト上で「Master」「Magister」という名で登場、60連勝するなど驚異の強さを見せている。
柯潔九段は浙江省出身の19歳。AlphaGo対李世ドル戦が決した後、「AlphaGoは李世ドルに勝っても、僕には勝てない」と中国のSNS「微博」でコメントしていた。一方、オンライン囲碁ソフト上では17年1月に「潜伏」の名で「Master」(AlphaGo)と非公式に戦い、投了で負けていた。
AlphaGo対柯潔九段の第1局では、柯潔九段がAlphaGoの序盤の打ち筋をまねてきた。DeepMindのデミス・ハサビスCEOはTwitterで「柯潔が早々に三々に着手したのは興味深い。AlphaGoの好きな手を知っているようだ。AlphaGoがどう対応するか興味をそそる」とコメントした。
日本の囲碁AI「DeepZenGo」に昨年勝ち越した趙治勲名誉名人は、ニコニコ生放送での盤面解説に登場し、AlphaGoに対して「僕には考えられない良い手を打つかと思えば、想像を絶する悪い手も打っている。自分の形勢が良いと見ると、DeepZenGoもこういう悪い手を打つことがあった」と指摘。「介護で言えば、爪を切る時にちょっと血が出ても、その他大勢の人に影響ないからいいでしょと言っているようなもの」と、医療現場での活躍も見込まれているDeepMindのAIの考え方に疑問を呈するような発言もあった。
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