「ケータイショップらしくないケータイショップを作る」―――KDDIが約150億円をかけてauショップの改革に乗り出している。新形態の直営店として、すでに仙台・福岡・札幌の3店舗がオープン。もうすぐオープンから1年を迎えるというau SAPPOROを取材した。
外観はまるで雑貨屋のよう。店頭の一番目立つ棚には、スマホやタブレットではなく「父の日のプレゼント」向けに家電や衣服、食品などが並んでいる。正面からは、ケータイショップの目印である「手続きカウンター」すら見えない。
「これまでケータイショップはケータイのためだけに来る場所。待ち時間も長くお客様にかかるストレスも多かったため、待ち時間を楽しみ、ケータイ以外の理由でも気軽に立ち寄れる店舗を目指した」とKDDI広報部の平岡直樹さんは話す。
そのためau SAPPOROでは、スマホやタブレットなどのスペースと雑貨、食品類などの物品販売スペースをあえて分けなかったという。取り扱う雑貨類は、“生活に役立ついいもの”がコンセプトの同社ECサービス「au WALLET Market」の商品を、客層やニーズに合わせて店舗側が選んでいるという。
なぜ、このような店舗を作ったのか。平岡さんによると「通信事業社からライフデザイン企業へ転換するための取り組みのひとつ」だという。KDDIは「多様化する家族の形に合わせて、通信サービスを軸に日常生活をトータルでサポートする企業を目指す」としている。
また、「au SAPPORO」は全国のauショップに多い中規模店舗。全国で新形態店舗をスタートするためのモデルケース化も想定して運営しているという。平岡さんは「お客様の反応はおおむね好評。『従来とイメージが違って面白い』『おしゃれで落ち着く』などの意見もある。新形態店舗でのトライ&エラーを通じて、成功事例を他のショップに拡大していきたい」と話した。また大都市圏への出展も検討しているが、現時点では未定だという。
札幌以外の新形態店舗「au SENDAI」と「au FUKUOKA」はいずれも大型店舗。au SENDAIは1階がカフェ、2階がauショップとなっており、au FUKUOKAは札幌と同様雑貨を取り扱うが、こちらはauショップと雑貨スペースを分けて運営しているという。札幌で見かけた一風変わった店舗は、今後のケータイショップの在り方を占う試金石になるかもしれない。
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