なぜ今、ソニーがおもちゃを作るのか 「toio」開発の狙い
ソニーが「東京おもちゃショー2017」で玩具の新製品「toio」を発表した。なぜ今、子供向け玩具なのか。同社の狙いは。
ソニーは6月1日、「東京おもちゃショー2017」(6月1日〜4日)で、体感型のトイ・プラットホーム「toio」(トイオ)を発表した。発売は12月の予定で、市場想定価格は2万円前後。同日からソニーのサイト「First Flight」で、先行予約販売を受け付けている。
toioは、子供たちが実際に手を動かし、想像力を働かせながら遊べる玩具。あらかじめプログラミングされた通りにロボットのキューブが動き出す。東京おもちゃショーでの同社の出展は初。なぜ今、子供向け玩具を世に送り出すのか。
ソニーが作った“新しいおもちゃ”
toioは、カートリッジを差し込む本体の「toioコンソール」、モーターを内蔵し、2つの車輪で動き回れる2台の「toioコアキューブ」、キューブの動きを制御するつり革型のコントローラー「toioリング」で構成される。
遊ぶには、別売りのカートリッジが必要。キューブは加速度センサーと光学センサーを搭載し、専用マット上のインクのパターンを読み取ることで自身の位置をリアルタイムで把握。あらかじめカートリッジにプログラミングされた動きをする他、toioリングでも直感的にキューブを操作できる。
これにより、一方のキューブをもう一方が追いかけたり、磁石のようにお互いを引き寄せたり反発させたりという遊び方が可能だ。
キューブにはレゴブロック(別売り)やキャラクターフィギュアなどを乗せることができ、工作遊びも可能。レゴの他、バンダイやソニー・ミュージックエンタテインメントとも提携し、さまざまなコンテンツを提供していく。
ローンチタイトル(カートリッジ)は「トイオ・コレクション」と「工作生物 ゲズンロイド」の2つを用意。市場想定価格はいずれも5000円前後。
トイオ・コレクションは、文具で工作したキューブを「ロボコン」のように戦わせる「クラフトファイター」や、シューティング、パズル、スポーツ、チェイス(追いかけっこ)といった5種類のゲームが楽しめる。
工作生物 ゲズンロイドは、「ピタゴラスイッチ」でおなじみのクリエイター集団「ユーフラテス」が開発したもの。紙工作とロボットを組み合わせ、紙でつないだキューブがシャクトリムシのように動いたり、2足歩行のようにキューブが交互に動いたりする。
toio開発チームのリーダーとなった新規事業プラットフォーム新規事業創出部の田中章愛統括課長は、「今はカートリッジにプログラミングされた動きしかできないが、今後は子供たちが動きをカスタマイズできるような遊び方も考えていきたい」と語り、プログラミング教材としての可能性も視野に入れている旨を語った。
なぜ今、ソニーがおもちゃを作るのか
toioは、ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」(以下、SAP)から生まれたもの。有志で集まった社内ベンチャーで、ロボット開発をしていた田中さんはリーダーとしてプロジェクトを進めていった。
「最初は開発するのが楽しいから作っていたが、子供たちにテストしてもらううちに、もっと楽しんでもらいたいと思うようになった」と、気持ちの変化を語る。
保護者からも「テレビゲームばかりでなく、実際に手を動かし、他人とコミュニケーションを取るような玩具で遊んでほしい」という要望が多かったという。実際に200人以上の子供たちに触ってもらう中で、「子供たちに良質な体験をしてほしい」と、強く思うようになった。
今後も、子供たちに“良質な体験”を届けるため、提供するコンテンツを随時拡大していく。
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