空気を噴射してがれきを飛び越えたり、広く見渡したりできるヘビ型ロボットを開発したと、東北大学などの研究チームが6月12日に発表した。地震や土砂崩れなどの災害現場で、被災者を探したり、状況を把握したりといった活用を見込む。
先端にカメラを搭載するヘビ型ロボット。表面を覆うナイロン製の繊毛を内蔵モーターで細かく振動させ、前進する。段差に直面すると、胴体から下向きに空気を噴射。先端が浮上し、段差に乗り上がると、今度は後ろ向きに噴射し、尻尾の部分を引っ張り上げて
進んでいく仕組みだ。最大20センチの段差を乗り越えられるという。
空気を左右に噴射して方向転換したり、先端部だけを浮上させ、高いところからカメラで周囲の状況を把握したり――などの動きも可能。先端部の方向転換(90度)にかかる時間は1.6秒と、噴射機構がない場合と比べると、約15分の1に短縮できるという。
ロボットのサイズは、全長が約8メートル、直径が約50ミリ。重さは約3キロ。
今後は、災害現場を模したフィールドで試験を繰り返し、耐久性や操縦性能を向上させるという。周囲の環境を把握し、その情報を基に噴射をコントロールして、より複雑な段差を素早く登れるよう目指す。
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