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“乗り捨て”をどう解決? 世界で広がる「自転車シェアサービス」の今“日本が知らない”海外のIT(1/2 ページ)

日本だけでなく、世界でもスタートアップが続々と参入する「自転車シェアリングサービス」。手軽な移動手段の1つとして便利だが、まだまだ超えなければならない課題は多い。

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注目を浴びる自転車シェアサービス

 中国発スタートアップ「Mobike」の日本進出などで、注目を集めている自転車シェアリングサービス。国内でもソフトバンクや各行政が参入し、期待が高まっている市場といえるだろう。

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 しかし、自転車シェアがより広く普及するには、駐輪スペース、支払い・返却方法、利用者のモラルなど、乗り越えていかなければならない課題は多い。

 そこで今回は、シンガポールを事例に自転車シェアの課題と可能性について考えてみたい。

 なぜシンガポールか。同国では、すでにMobikeが本格的に事業展開しているだけでなく、ほかの中国スタートアップや地元スタートアップが参入し、激しい競争を繰り広げている。またシンガポールはトップダウン行政、狭い国土などが理由となり、日本に比べ社会実験における効果をいち早く見ることができる。

 シンガポールの事例から、日本の自転車シェアリングがどのように発展してくのか、ヒントを得ることができるかもしれない。

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“3社が競合”するシンガポール 「自転車の見つけやすさ」が鍵

 シンガポールではもともと行政が自転車シェアリングプロジェクトを主導していく計画だったが、Mobikeなどスタートアップの参入により、いったん行政は手を引き様子を見るスタンスを取っている。

 2017年7月時点で、3社のスタートアップが同国で自転車シェアリング事業を展開している。地元シンガポールのoBike、中国のMobikeとofoだ。

 これら3社のサービスモデルはほとんど同じだが、自転車の見つけやすさやアプリの使い勝手などが異なり、それらがユーザーによる評価の差につながっているようだ。

 それぞれの共通点と特徴を見ていきたい。

 oBikeは、17年1月にプロトタイプのサービスを開始。公式に事業を開始したのは4月から。同社によると、2月時点でシンガポール国内に1000台の自転車を配置したという。

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街中でよく見かけるoBikeの自転車(撮影:細谷元)

 サービスはiOS/Androidアプリで利用できる。利用には、まず登録時に49シンガポールドル(SGD)をデポジットとして支払う。7月20日の為替レート換算では約4000円ほど。アプリ内で、Paypalかクレジットカード、デビットカードで支払える。ちなみにoBikeは学割を提供しており、学生のデポジット料は19SGDに割引される。

 デポジット支払い後、アプリ内のマップから近くにあるoBike自転車を探し、自転車に貼り付けてあるQRコードをスマホで読み取ると、自転車のロックが解除され利用可能に。利用料は、15分あたり50セント(約41円)。

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利用するにはスマホでQRコードを読み取るだけ(撮影:細谷元)

 中国のMobikeとofoもiOS/Androidアプリに対応。Mobikeのデポジット料は49SGD、ofoは10SGD安い39SGD。Mobikeの自転車利用料は30分50セント、ofoの利用料は1時間1SGD(最大2SGDまで)となる。

 一見3社とも登録・利用方法やデポジット・利用料金がほとんど同じで、違いがないように見える。しかしユーザーから見ると、3社のイメージは大きく異なる。少なくとも筆者からすれば、現時点のシンガポール市場において、ofoに比べoBikeとMobikeの方が利用しやすいイメージだ。

 最も大きな違いは「自転車の見つけやすさ」にある。

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