“AIアナウンサー”がラジオ放送 Amazonの音声合成技術で
コミュニティーFMを運営するエフエム和歌山が、AIサービス「Amazon Polly」を使ったラジオ放送を7月に始めた。ニュース原稿を自動で読み上げるという。
コミュニティーFM「Banana FM」を運営するエフエム和歌山(和歌山市)が、人工知能(AI)技術を使ったラジオ放送を7月に始めた。米Amazon Web Services(AWS)のAIサービス「Amazon Polly」を活用し、ニュースや天気予報を自動で読み上げるという。
ディープラーニング技術を使用し、人間の声のような音声を合成できるという「Amazon Polly」を活用。クラウド上で、テキストを合成音声に変換する。
あらかじめ新聞社などからニュース原稿を受け取り、エフエム和歌山が開発したプログラムを使い、合成音声で読み上げやすいようにルビや句読点の位置などを自動修正。いったん原稿をエフエム和歌山のサーバに保存しておき、放送直前にAmazon Pollyが音声に変換して、自動的に読み上げるという。
エフエム和歌山の山口誠二さん(企画・編成)は「放送当初はリスナーから『違和感がある』『ヘタクソな新人アナウンサー』などの声もあった。だが、本物の人間と勘違いしている人が多かったようで、面白い現象だった」と話す。現在では、リスナーの方々にもおおむね好評という。
これまでエフエム和歌山は、金銭的・人口的な要因からアナウンサーの確保が難しく、特に深夜や早朝の放送が困難だったという。Amazon Pollyを導入することで、これまで放送できなかった時間帯でも放送を始めたほか、局地的豪雨や地震が発生した場合に災害放送が可能としている。
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