遠隔地から人と上半身をシンクロするロボ「自分の肩だってもめる」
新日鉄住金ソリューションズとNTTドコモは、遠隔地から全身を操作できる、上半身が人型の作業用ロボットを公開した。将来的に、危険な作業場への導入を見込む。
新日鉄住金ソリューションズとNTTドコモは11月8日、遠隔地から全身を操作できる、上半身が人型の作業用ロボットを公開した。NTTドコモが開発を進める次世代通信規格「5G」による低遅延・高速通信で、上半身の各動作を人とロボットでシンクロできるという。将来的に、新日鉄住金の製鉄所や工場など、危険な作業場への導入を見込む。
作業用ロボットは、上半身の各動作の指示を遠隔地から受け取り、さらにロボットの両目から操作者へ映像を送る仕組み。新日鉄住金ソリューションズによれば、従来のLTEでは十分な通信ができなかったため、NTTドコモと協力し5Gでの通信を用いることで、より遅延が少なく、ロボットから人へ精細な映像を送ることが可能になった。
ロボットの手には圧力センサーを搭載しており、グローブをはめて遠隔操作する人がロボットの指からフィードバックを得られる。8日の報道陣向けイベントでは、操作者の後ろにロボットを配置することで操作者自身の背中を見ながら自身の肩をもむ「幽体離脱」のデモが行われた。
ロボットの下半身には、ソフトバンクのロボット「Pepper」のようにタイヤを配置。操作者の足踏みに合わせて、前進や後退、カーブ、回転ができる。下半身を二足歩行にする可能性は「ゼロではない」が、「脚の動作データの通信にはさらに高速な通信や、ロボット工学の技術課題がある」(新日鉄住金ソリューションズの担当者)という。
5Gは、超高速通信(下り通信速度が20Gbpsなど)、超高信頼低遅延(レイテンシ0.5ミリ秒・信頼度99.999%)、超多数端末接続(1平方キロ当たり100万デバイス)を実現する次世代通信規格。日本を始め、世界中で2020年までに商用化を目指している。
この作業用ロボットは、日本科学未来館で11月9日から11日まで開催する「見えてきた、“ちょっと先”の未来 〜5Gが創る未来のライフスタイル〜」で展示する。
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