電子の歌姫誕生から10年 初音ミクが「キーボード」になった理由:ボーカロイドキーボード開発秘話インタビュー(5/5 ページ)
2007年8月31日の誕生から10年。VOCALOID「初音ミク」が、キーボードになりました。
いざ「ボーカロイドキーボード」演奏チャレンジへ
――さて、今回は実物を弾かせていただけるということでプリインストール曲を表示してもらっているんですが、これは「千本桜」の歌詞ですよね?
濱野さん:そうです。良かったら弾いてみてください。
――(恐る恐る弾いてみる)元の曲知っているからかもしれませんが、思っていたよりもずっと簡単ですね
梅津さん:実際そうでしたよ。ピアノを弾いたことがある人より、この歌を知っている人の方が弾けるようになるのが早かったです。
濱野さん:歌詞がずれても、入力時に改行したところを「次のフレーズ」として、そこから仕切り直せます。
藤原さん:その「歌詞を進めるボタン」を長押しすればハミングモードになります。
――(ハミングモードを弾いてみる)
ボーカロイドキーボード:にゃにゃにゃにゃにゃー
濱野さん:諦めて次のフレーズに行ってもいいんですが、そうすると間の部分が抜けちゃうじゃないですか。それをそのままにするのは寂しいな、と思って、長押ししている間は設定した言葉1つで弾けるようにしました。
今は「にゃ」になってますが、「ぎょ」とか好きな1音で設定できます。「ら」とか「う」とかハミングらしい言葉にしておくといいかもしれません。長押ししている間はその1音が歌詞になって、ボタンを放すと次の歌詞に切り替わる。分からなくなったり間違えたりしたら、長押しして離して次、離して次、とハミングでしのぐ感じ。人間が間違えた時と一緒ですね(笑)
――これならサビ以外はうろ覚えの曲でも、チャレンジできますね
濱野さん:それからボーカロイドキーボードの鍵盤は小さめなので、隣の鍵盤に指が当たってしまうことがあるんです。その時「2音分弾いた」とカウントされることを避けるために、1音目から次のトーンまでの間がある程度空かないと2つ目の音は無視するようになっています。
――それで弾けるのは主旋律だけで、和音などは弾けないようになっているんですね
濱野さん:そうですね。この「2音分進めないようにするタイミング」をどのくらいにするかも設定できるので、バラードなら長めに、アップテンポなら短めに、といった調整もできます。
――なるほど。歌詞情報がプリインストールされているとのことですが、どんな曲調のものが入っているんでしょう? 5曲ということは、各シンガーに1曲ずつでしょうか?
藤原さん:ええ。初音ミク用が今弾いてもらっている「千本桜」(黒うさP)、VY1用が「サイバーサンダーサイダー」(EZFG)ですね。
――「サイバーサンダーサイダー」って、なぜそんな難しい曲を……。最初にひたすら「サイバサンダサイダ サイバサンダサイダ」って繰り返すから、絶対弾きにくいですよね?
濱野さん:プリインストール用の歌詞を作るのも大変だったんです。あと正直な話、どこを弾いてるか分からなくなってくるんですよね。
――やっぱり
藤原さん:まあまあ、これはチャレンジ枠なので(笑)
あとはMegpoidの「天ノ弱」(164)、IAの「アスノヨゾラ哨戒班」(Orangestar)、結月ゆかりの「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」(和田たけあき)が入っています。それぞれボカロPさんにお願いして、搭載させていただきました。
――どれもボカロ曲好きなら知っている、有名な曲ばかりで練習しやすそうですね。もちろん、好きな曲の歌詞を入力して「自分がよく知っている曲」から練習しはじめてもいいかもしれません
濱野さん:そうですね。特にボカロ曲はボーカルのない伴奏音源やカラオケ用の音源が動画サイトにアップされていることが多いので、それを流しながら弾くのも楽しいと思います。
後半は「ボーカロイドキーボードの可能性」
後半ではいよいよボーカロイドキーボード演奏動画も登場。果たしてどんな風に歌ってくれるのか。そして「ボーカロイドキーボード」が持つ「新しい可能性」とは?
>>>後半へ続く
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