GoogleのVR「Daydream」が日本進出、抱える課題は
Googleがスマホ向けVRプラットフォーム「Daydream」に対応するヘッドセットを日本国内でも発売する。しかし、対応端末が限られているなど課題も多い。
Googleのスマートフォン向けVR(仮想現実)ヘッドセット「Daydream View」が、12月13日に日本国内で発売される。価格は1万2000円(税込)。スマホを挟むだけで、同社のVRプラットフォーム「Daydream」のVRコンテンツを視聴できる。モバイル環境でリッチなVR体験を提供する一方、日本展開する上で課題もありそうだ。
Daydream Viewには、フィット感や通気性を考慮したファブリック素材を使い、専用のモーションコントローラーが付属する。利用にはDaydream対応スマホが必要で、国内では「Galaxy S8/S8+/Note8」「ZenFone AR」「Moto Z」「Axon 7」「LG V30+」の7機種のみが対応。NTTドコモは、LG V30+購入者全員にDaydream Viewをプレゼントするキャンペーンを実施する予定だ。
グローバルでは250ほどのDaydreamアプリが展開されているが、国内での提供アプリ数は不明。YouTube VRやストリートビューなどのVRコンテンツに対応するほか、サイバーエージェント、コロプラ、グリーなどとも協業する。また、音楽シューティングゲーム「Rez Infinite」にも対応する。
米GoogleのDaydreamプロダクトリード、アンドリュー・ナートカーさんは「(Daydreamは)ハイクオリティーなモバイル用プラットフォーム。モバイルベースなので(Daydream Viewで)初めてVR体験をする人が世界中で何百万人も生まれるだろう。日本で展開できるのをうれしく思う」と話す。
アプリ開発者はDaydreamに何を期待しているのか。VRゲーム『釣りスタ! VR』を開発するグリーの渡邊匡志プロデューサーによると、(1)言語対応や決済システムなどに安定性がある「Google Play」というプラットフォーム、(2)Chromecastでの映像の外部出力対応、(3)コンテンツの品質を担保するアプリ審査、(4)同一アプリでスタンドアロン型のDaydream用ヘッドセットにも対応できる点――などが魅力という。
対応端末の少なさ、アプリ展開などに課題
ただ、日本展開での課題もある。対応端末の少なさだ。日本のAndroidスマホとしてシェアの多いXperiaシリーズが非対応で、Google製スマホ「Pixel 2」を国内発売する予定もない。
また、対応端末は高いCPUやGPU処理性能やセンサー精度、遅延の少なさなどが求められるハイエンド機である必要がある。端末価格も10万円前後で、ゲーミングPCと「Oculus Rift」のような組み合わせよりは安価だが、「気軽な体験」とも言いがたい。今後の発売が予想されるスタンドアロン型ヘッドセットの価格も気になるところだ。
国内向けのVRコンテンツ数がどれほど増えていくかという問題もある。提供当初は視聴や実用系コンテンツなどが多く、ゲームアプリはそれほど多くない。モーションコントローラーを生かしたDaydreamならではのゲーム体験に期待したい。
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