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尿検査で「がん」特定へ 尿1ミリリットルで 名大らが研究
名古屋大学と九州大学、国立がん研究センター、科学技術振興機構、日本医療研究開発機構は、尿1ミリリットルからがんを特定する技術を発見した。
尿1ミリリットルから、肺やすい臓など5種のがんを特定する技術を発見したと、名古屋大学や国立がん研究センターなどの研究チームが12月16日に発表した。尿中にあるマイクロRNAと呼ばれる微小な物質を調べることで、生体を傷つけることなく、がんの診断や特定ができる可能性があるという。
特定できるがんの種類は、肺、すい臓、肝臓、膀胱、前立腺としている。細胞外小胞体に内包されるマイクロRNAは全ての人の体液中で発見されているが、尿中の細胞外小胞体は極めて濃度が低いため、それによるがん診断は困難だと考えられていた。
しかし、酸化亜鉛ナノワイヤを用いたところ、尿1ミリリットルから1000種類以上のマイクロRNAを発見。それを解析したところ、がん患者は特異的に過剰、非がん患者は特異的に減少発現しているマイクロRNAを発見したという。
研究成果は、12月15日午後2時(米国東部時間)、米国科学雑誌「Science Advances」電子版に掲載された。
(太田智美)
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