流行語大賞「インスタ映え」とは何だったのか 2017年を振り返る(2/2 ページ)
2017年の流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれた。世代を問わず注目を集めた言葉だが、実際にはどのようなことが起きていたのか。
カメラやプリント写真への注目も
Instagramは、カメラやその周辺にも大きな影響を与えている。例えばインスタ映えの条件に「画像加工」が上がっていたように、スマートフォン上で簡単に加工できるカメラアプリを使っている人が多く、人気アプリの中には「SNOW」のように、Instagramそのものの利用率を上回るものまで登場した。
Instagramは、SNSとは縁遠いはずのフィルムカメラにまで再びスポットライトを当てた。例えばInstagramで「#写ルンです」のハッシュタグが付いた投稿は35万以上。インスタントカメラ風に撮影できるカメラアプリ「Huji Cam」なども登場し、アナログな風合いが人気だという。
10月には、富士フイルムがインスタントカメラ“チェキ”の新製品として「instax SQUARE SQ10」を発表。1度の撮影で写真(フィルム)とデジタルデータの両方が得られるハイブリッドカメラで、スクエア(1対1)フォーマットのフィルムを採用しているため、Instagramへの投稿にも適している。もちろん本体内で写真の加工も可能だ。
さらにスマホで撮影した写真を「あえて印刷する」アイテムまで登場した。タカラトミーの「プリントス」は、スマホ内の画像をチェキのフィルムにプリントするアイデア商品。またカメラのキタムラは、Instagramの投稿を写真にできるサービス「インスタプリント」を12月から開始した。プリントした写真をおしゃれに飾り、それをまた撮影してInstagramに投稿するユーザーも多いようだ。
「いいね!」の数を増やそうと工夫を凝らすユーザーが多い一方で、どうすればたくさん「いいね!」をもらえるのかを教えてくれるAI(人工知能)も登場した。8月には東京大学が「いいね!」が増えるハッシュタグを提案するAIを開発。9月に開催された東京ガールズコレクションには、インスタでどれだけ「いいね!」してもらえるか、ファッションチェックをするAIが注目を集めた。
では、2018年もこの「インスタ映え」ブームは続くのだろうか。
1つ気になる動きがある。Instagramを傘下に持つFacebookの日本法人、フェイスブックジャパンによると、「Instagramの投稿は写真から動画へシフトしてきている」という。機能面でも、ライブ動画などを投稿すると24時間に消える「ストーリー」をハイライトとして保存できるようにするなど、動画に力を入れている。
女性から支持を集めているインフルエンサーの中にも、動画配信サービスで地位を確立する人が増えてきた。メイク動画で人気を博した“女子力おばけ”ことNMB48の吉田朱里さんのYouTubeチャンネル登録者は45万5000人以上と、Instagramフォロワー数(約37万9000人)を上回っており、「モテること」をテーマに情報発信する“モテクリエイター”ゆうこす(菅本裕子さん)のチャンネル登録者も27万5000人以上と、Instagramのフォロワー数(約29万9000人)に迫る勢いだ。(※いずれも12月27日時点の数字)
もしかすると次なる「インスタ映え」は、写真だけでなく動画も意識した形に変わっていくのかもしれない。あるいは「インスタ映え」に取って代わる別の言葉が生まれるのか。2018年も「いいね!」に忙しくなりそうだ。
関連記事
- ユーキャンの流行語大賞、「インスタ映え」「忖度」が大賞に
「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞が発表され、「インスタ映え」「忖度」が大賞に選ばれた。 - 「インスタ映え」用 食べられないアイスの国 表参道にオープン
食べるのではなく、写真を撮るための会場です。 - 富士フイルム、スマホ向け写真プリンタ新製品 “インスタっぽい”正方形フィルム対応
「スマートフォンで写真を撮り、プリントして、部屋に飾る」を提案。 - 10代の半数が自撮りアプリ「SNOW」を利用 Instagram利用率を上回る
自撮り写真加工アプリ「SNOW」を、日本人10代の約半数が利用している――そんな調査結果をジャストシステムが発表。 - Instagram、国内月間2000万人が利用 2年間で2.5倍、「動画」投稿にシフト
Instagramの日本国内の月間アクティブユーザー数が2000万人を突破。ユーザー数が増える中、投稿内容にも変化が。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.