“自動ブレーキ”過信しないで 国民生活センターが注意喚起
国民生活センターが「衝突被害軽減ブレーキ」への過信が事故につながる危険性があると指摘。人や自転車が急に飛び出してきた場合には作動しないこともあるという。
国民生活センターは1月18日、「衝突被害軽減ブレーキ」(通称:自動ブレーキ)などのシステムを搭載した「先進安全自動車」に関する消費者の使用実態調査を発表した。自動ブレーキを搭載したクルマによる事故削減効果が認められる一方、装置への過信が事故につながる危険性も指摘する。
国民生活センターが運営する相談データベース「PIO-NET」(全国消費生活情報ネットワークシステム)には2012年度以降、先進安全装置関連の相談は計142件寄せられ、中でも自動ブレーキに関するものが119件(83.8%)を占めた。「機能が作動しない場合がある」ことを知らずに事故を起こした事例や、「前方に何もないところで不意にブレーキが作動し、急停車した」事例があった。相談件数は年々増加しており、15年は33件、16年は37件、17年は11月末日までに26件となっている。
自動ブレーキは、先行するクルマや歩行者など周囲の障害物を検知し、追突や衝突の恐れがある場合に音や警告灯などでドライバーにブレーキ操作を促す機能。ブレーキ操作がなく追突や衝突が避けられないとシステムが判断した場合にのみ自動的にブレーキが作動する。自動車メーカーや車種によっては、カメラやミリ波レーダーなど検出器の方式が異なり、装置が作動する速度や条件にも違いがある。
「衝突被害軽減ブレーキは、あらゆる状況での衝突を防ぐ装置ではない。例えば人や自転車が急に飛び出してきた場合には作動しないこともあり、ドライバーは機能を過信せずに安全運転をする必要がある」(国民生活センター)
関連記事
- 増える高齢ドライバー事故 「自動運転で減らす」 国交省の見解
社会問題化している「高齢ドライバーの事故」問題。自動運転技術でどれほど改善できるのか、国交省に聞いた。 - 「自動運転レベル」の果たす役割とその弊害
世界中で進む自動運転技術開発において指標となっているのが「自動運転レベル」と呼ばれるものだ。自動化の度合いによって0から5まで6段階のレベルが定義されている。しかし開発の現場からは別の声も上がっている。 - トヨタ新型「LEXUS LS」は安全機能強化 「ブレーキ間に合わない」→ハンドル自動操作で回避
新型「LEXUS LS」は、自動ブレーキだけでは歩行者との衝突を回避できない場合、ハンドルを自動操作して被害を軽減する機能を備える。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.