街の“iPhone修理業者”は法令違反? 利用のコツは:明日から使えるITトリビア
「最短15分で割れた画面が修理できます!」──街で見かけるiPhone修理業者。でも勝手に分解したら電波法違反になるのでは?
この頃、街を歩いているとiPhoneやスマートフォンの修理を受け付けるショップをよく見かける。画面割れや反応しなくなったホームボタン、カメラの不具合、バッテリー交換など、通常であればメーカーに依頼するような修理をなぜ店頭で行えるのだろうか。
ユーザーからすると、短時間かつ低価格でスマートフォンを修理できるのは歓迎したいが、少し詳しい人であれば「メーカー以外がスマートフォンなど電波を発する機械を分解すると、法令違反では」と疑問に思うはず。
総務省によれば、日本国内で電波を発する無線設備は、無線局として総務大臣の免許を受ける必要がある。「電波の出力が強すぎる」など、認可のない機器を勝手に使われてしまうと、他人の通信を妨害して、ひいては命に関わる可能性もあるからだ。
一方で、スマートフォンのような小規模な無線設備(特定無線設備)では、免許手続きを簡略化する観点から「技術基準適合証明」と呼ばれる制度が設けられている。メーカーが一括して認可を取り、いわゆる“技適マーク”を機器本体に印字、または画面上で表示すれば、ユーザーは何もせずに電波を発しても問題ない機器であることを証明できる。
ところが製造元のメーカー以外がスマートフォンを一度でも分解したり改造したりすると、その時点で技適から外れてしまい(電波法38条の7第4項)、その後に無線機能を使うと電波法違反に問われる可能性がある。
例えば、Appleが修理などの正式サポートを行っているのは、Apple自身と正規サービスプロバイダーと呼ばれる認可業者のみだ。代表的な店舗は、ビックカメラやカメラのキタムラなどで、Appleの認定資格を持ったスタッフがメーカーのサポートと同じ品質、純正部品を使って修理を行う。これらはメーカー修理扱いとなり、法的になんら問題はない。
街の修理業者はアウト?
では、街に点在する修理業者はどうだろうか。メーカーと関係のない非正規業者のため、修理のためにiPhoneを分解した時点で電波法違反に問われる……おもいきや、実はそうではない。
総務省は2015年4月に登録修理業者制度を設けた。業者の行う修理手順や使用するパーツが、電波の出力などに影響を与えないなど、電波法で定める基準に適合していれば、合法に本体の分解を伴う修理を行えるという制度だ。スマートフォンの急速な普及によって、第三者の業者が修理などを行う事例が増えた。この制度によって、メーカー以外が修理を行うことが電波法に抵触するのか不明確だった点が解消されるという。
総務省が認めた登録業者は一覧で公表されている。街の修理業者に依頼する場合は、認可された業者であるか確認すると安心して依頼できる。
ただし、デメリットも
法的に問題がない街のiPhone修理業者。しかしデメリットも存在する。総務省に認可されていても、「メーカー正規の修理業者ではない」という点は頭に入れておく必要がある。
Appleは純正部品を正規サービスプロバイダーにのみ提供している。非正規の修理業者が使う修理パーツは、これもまた第三者が生産した非純正部品だ。修理業者独自の基準などによって、品質が著しく劣るものを使っているとは考えにくいが、修理業者が開示している規約や独自で用意している保証などをよく確認したほうがいいだろう。
先日、Appleが発表したiPhoneのバッテリー交換プログラムが反響を呼んでいる。希望するユーザー全てを対象にバッテリーを新品交換するというものだが、条件の中に「非正規品バッテリーでなければ」という文面がある。
つまり、一度でも修理業者にバッテリー交換を依頼したり、自分でバッテリーを入手して交換していたりすると改造扱いとなり、メーカー保証が一切受けられなくなる。これはバッテリーに限らず、他の部品も該当する。
街の修理ショップを使いこなすためには
非正規の修理ショップを利用するとメーカー保証が受けられなくなってしまうのは痛手だ。使っている製品が保証期間内ならば、メーカー修理を受けた方が得策だろう。逆に保証が切れている場合は、割安な修理ショップを利用するメリットが大きいと考えられる。
多くの人にとって必需品となったスマートフォン。画面が割れたままの状態で使う人も多いというが、自身の環境から適切な修理方法をうまく選んでほしい。
【訂正:2018年1月25日11時 記事内容に直接関係のない冒頭の店舗写真を取り下げました】
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