出版科学研究所(東京都新宿区)が2月26日に発表した2017年のコミック市場統計によると、電子版のコミックス(漫画単行本)の推定販売額が、初めて紙のコミックスを上回った。電子版が1711億円(前年比17.2%増)だったのに対し、紙は1666億円(同14.4%減)だった。紙と電子を合算したコミックス市場規模は3377億円(同0.9%減)とわずかに減少した。
同研究所によれば、紙のコミックスは過去最大の落ち込み。これまで市場を支えてきたビッグタイトルの完結や部数規模の縮小、これに代わる新たなヒット作が出ていないこと、読者の紙から電子版へのシフトなどが要因という。
電子版は、無料や値引きなどのキャンペーンによって、完結した過去作品を中心に売れ行きが伸長。青年向けの作品、ボーイズラブ(BL)やティーンズラブ(TL)など、もともと電子版での占有が高いジャンルも成長しているという。しかし無料で読めるコミックスの増加、過去作品の電子版がそろそろ出尽くしたこと、違法の海賊版サイトの影響も少なからずあること――などで16年ほどは成長しなかったと、同研究所は分析している。
コミック誌も含めたコミック全体だと、紙は2583億円(前年比12.8%減)、電子版は1747億円(同17.2%増)。両方を合わせると4330億円(同2.8%減)だった。電子コミック誌は堅調に伸びているが母数が少なく、紙のコミック誌の5%にも満たないため、紙の落ち込みを補うほどには至っていないという。
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