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「ブロッキングの前にやるべきことある」 ISPや弁護士が考える「海賊版サイト対策」とは(2/3 ページ)

ISPの業界団体や弁護士などが、ブロッキングの問題やそれ以外の海賊版サイトへの対策方法について緊急シンポジウムで説明した。

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JAIPAに寄せられた質問と回答

 JAIPAがDNSブロッキングに対する反対意見を表明してから、さまざまな意見や質問が寄せられたという。そうした質問や会場からの質問に対するシンポジウムメンバーの回答を紹介する。

DNSブロッキングは通信の中身を見ていないのだから、通信の秘密は関係ないのではないか


森亮二弁護士(専門分野は企業法務や電子商取引、インターネット関連など)

森弁護士 「通信の秘密を侵す」というのは、内容を知得(取得)、窃用(利用)、漏えい(開示)すること。ブロッキングは、電気通信事業者の取り扱い中の通信について「ホスト名」「IPアドレス」「URL」などの宛先を検知・遮断する行為であるから、アクセスを要求する通信当事者の意思に反して通信の秘密の構成要素などを「知得」し、「窃用」するものであり、通信の秘密の侵害となる。



森弁護士による通信の秘密の説明

違法なものをブロックするのに通信の秘密も表現の自由も関係ないのでは

森弁護士 違法なサイトに表現の自由がないことに異論は挟まない。厳密にはグレーゾーンがあるかもしれないが、違法サイトを保護しようとしているのではなく、一般ユーザーの通信の秘密が侵されることを問題としている。

ISPとしても代案を出すべきではないか

JAIPA野口さん ISPができることの中での代案となるとなかなか難しい。ISP以外が行うことであれば、政府が海外の警察と協力して捜査に当たるなどがあるだろう。また、急に話題になり始めた、広告という資金源を絶って兵糧攻めにする方法も、国民の権利を侵害するよりマシだろう。

音楽や映画に関してはJASRACという権利団体がある。書籍にはないのか

MIAU中川さん 日本書籍出版協会など複数の団体がある。難しい問題があるとすると、出版社には出版権しかなく、著作権など他の権利は著者が持っている。著者と出版社の契約関係もそれぞれなので、包括的なことは難しいのではないか。

上沼弁護士 権利団体でなくても、大手出版社1社が訴えればサイトが止まる可能性はある。理論的には可能。

政府のブロッキング方針を大手出版社は歓迎した。ISPと意見が異なるが、出版社との話し合いはないのか

JAIPA立石さん 違法サイトへ対策をしていかなければならないということに異論はない。ISPが法を侵さない範囲でなら、テクニカルなことでお手伝いできることはあると思う。しかし、現在までに話し合いの場は設けられていない。

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