NTTが海賊版サイト遮断、業界団体は“反対”も「強制できず」
NTTが海賊版サイトへのブロッキングを実施する方針に対し、日本インターネットプロバイダー協会は、ブロッキング反対の姿勢は改めない。NTTグループ3社は協会の会員だが、方針は「強制はできない」という。
NTTグループ3社が4月23日、海賊版サイトへのブロッキング(遮断)を実施すると発表したことを受け、ブロッキングに反対しているインターネットサービスプロバイダー(ISP)の業界団体・日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)は「見解を特に見直すことはしない」とのコメントを出した。NTTグループ3社はJAIPAの会員だが、協会の方針を「強制はできない」(同協会)という。
海賊版サイトを巡っては、政府が13日、ブロッキングの法整備を進めるまでの「緊急対策」として、「漫画村」など「悪質」と認めた違法サイトに対し、ISPへの自主的なブロッキングを促すことを決めた。
政府の「要請」に先立ち、協会は12日、「ブロッキングは通信の秘密を侵害する行為」「断じて許されない」とISP業界団体として反対する声明を出した。声明は、立石聡明専務理事(マンダラネット)、理事の一部で起案し、会田容弘会長(ソニーネットワークコミュニケーションズ)の承認を得て、会員各社に周知していたという。
しかし協会は、NTTグループがブロッキングを行う方針を「情報レベルとしては把握していた」(協会の広報担当者)が、「会員の判断を調整することはできない。声明に反する企業があっても強制はできない」という。今回、ブロッキングを実施するNTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTぷららに対してアクションを起こす予定はないという。
また、協会広報担当者は「いまのところ、NTTグループ以外の会員がブロッキングを行うとの情報は聞いていない」としている。
一方、NTTの広報担当者は「協会の声明は認識しているが、当社としては政府の方針に基づいてブロッキングを実施する」と説明した。
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