「被害者が救われる世界を」 集団訴訟プラットフォーム「enjin」β公開 被害者募り弁護団結成
集団訴訟を提起したい被害者と弁護士をつなぐオンラインサービス「enjin」が登場。被害者が集団訴訟のプロジェクトを立ち上げ、同様の被害にあった人を募集し、一定の被害者が集まった段階で弁護団を結成し、解決を目指す。
弁護士が代表を務めるベンチャー企業のクラスアクションは5月21日、集団訴訟を提起したい被害者と弁護士をつなぐオンラインサービス「enjin」(円陣)のβ版を公開した。被害者が集団訴訟のプロジェクトを立ち上げ、同様の被害にあった人を募集。一定の被害者が集まった段階で、enjinに登録されている弁護士と弁護団を結成し、解決を目指す。
集団訴訟プロジェクトの立ち上げ機能、弁護士の登録機能を実装済み。被害者が集まり、弁護士が決まって弁護団を結成できれば、弁護士主導で裁判外・裁判内での解決を目指す。β版サイトでは21日朝時点で、海賊版サイト「漫画村」による著作権侵害など4つの問題について、被害者を募っている。
集団訴訟は被害者が多数いるため、事務手続やコミュニケーションが煩雑になる傾向がある。これを解決するため、集団訴訟事務やコミュニケーションの円滑化機能を9月に実装する計画だ。また、支援者による寄付機能も6月に導入する予定だ。
被害者が訴訟提起を検討する際、被害額より弁護士費用の方が高くなってしまうため、訴訟提起をあきらめ泣き寝入りしている事件が多数あるという。enjinを使って多数の被害者を集め、集団訴訟の形にすることで、1人当たりの弁護士費用を軽減することが可能になり、表に出なかった事件を顕在化させ、解決の可能性を高めるとともに、加害者への抑止力にもなるとしている。
クラスアクション代表は、弁護士の伊澤文平氏。アドバイザーには、福島原発被害首都圏弁護団や薬害肝炎東京弁護団を担当した弁護士の中川素充氏を迎えた。
伊澤代表は「弁護士として活動する中で、被害者の被害額よりも弁護士費用の方が高くなってしまうために、依頼を受けることができないなどの歯がゆい経験からenjinは誕生した」と説明。「被害者と弁護士が『円陣』を組み、権力や圧力に屈することなく、正しいことを正しいと主張できる世の中にするための『原動力(エンジン)』となることが我々のミッション」としている。
関連記事
- 「日本の法体系ではあり得ない」 海賊版サイトブロッキング問題、弁護士がNTTコムを提訴
なぜ、海賊版サイトを遮断しようとするNTTコムを提訴したのか。中澤弁護士本人を取材した。 - 「ブロッキングの前にやるべきことある」 ISPや弁護士が考える「海賊版サイト対策」とは
ISPの業界団体や弁護士などが、ブロッキングの問題やそれ以外の海賊版サイトへの対策方法について緊急シンポジウムで説明した。 - 「出版社頼れない」「子供は漫画無料でいい」 海賊版サイト問題と漫画家たちの苦悩
4月24日に、阿佐ヶ谷ロフトAで「海賊版サイト」をめぐる問題について識者らが議論。森田崇先生と鈴木みそ先生が漫画家・クリエイターの立場から海賊版サイト問題について語った。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.