ドコモのAIエージェント「マイデイズ」はGoogleやAmazonの対抗馬になるかもしれない(2/3 ページ)
NTTドコモが独自のAIエージェントサービス「my daiz」(マイデイズ)を5月30日からスマートフォンやタブレット向けに提供する。新サービスの機能や特徴についてNTTドコモの担当者に聞いた。ところで「ひつじのしつじくん」はどこへ?
マイデイズはユーザーに合わせて柔軟にパーソナライズができるAIエージェント。日本語によるスムーズな音声入力対応と応答、検索結果が画面にビジュアル情報として表示される安心感も特徴としてアピールする。ローンチ後は順次提携パートナーを強化していく
最も標準的な利用方法は、ユーザーがマイデイズアプリをタップして起動するというもの。アプリが立ち上がったらメニューをタップで選んだり、マイデイズと音声やテキスト入力を使ってチャットしたりできるようになる。
一歩進んだ使い方は、音声で起動する方法だ。これはドコモの「キーワードによる音声起動」に対応する端末に限って可能になる。対応する端末のリストはドコモサイトを参照してほしい。
デフォルトのトリガーワードはそのまま「マイデイズ」だが、何となく呼びにくい感じもある。大場氏に確認したところ「設定から変更もできる」そうだ。
メニューを見せてもらうと、ドコモが用意した「ハイデイズ」「ねえデイズ」「トークモード」などいくつかのプリセットワードが並んでいる。大場氏の経験によると「“もしもしデイズ”は電話に応答しようとするとマイデイズが起動してしまうことがあるので、プリセットならそれ以外がオススメ」だという。使い出してからトリガーワードの善しあしがいろいろと見えてきそうだ。
またはユーザーが4〜8文字の中で任意のトリガーワードを自由に決めることもできる。マイクに向かって5回音声を吹き込めば登録は完了。このときにユーザーの声紋まで覚えてくれるので、より正確でセキュアな認識が可能になるというわけだ。
ユーザーのしたいこと、知りたいことを先読みしてくれるAIエージェント
マイデイズアプリの簡単なメニュー構成を紹介しよう。アプリを起動するとメインメニューである「NOW」画面が開く。上から下へずらりと表示されている「カード」と呼ばれるコンテンツのリストは、AIが「ユーザーの関心度が高そう」と判断したものを各サービスから引っ張ってきたものだ。
肝心な“関心度”についてはユーザーが利用したコンテンツ、検索などの行動履歴から判別したり、あるいはアプリの設定からユーザーが手動で追加したプロフィールに関連付けられたりしている。
マイデイズは1つの「dアカウント」にひも付けられたAIエージェントだ。もし2台以上の端末を1つのdアカウントで使っているユーザーであれば、それぞれの端末の利用履歴をAIエージェントが学習して1つのデータベースにまとめていく。
もし端末を仕事用とプライベート用に分けていて、それぞれの情報が混ざってほしくない場合は、2つのdアカウントを取得して端末を使い分けるしかない。
NTTグループでは“新しい価値”を創造するAIテクノロジーとして、ながらくcorevoというプラットフォームを独自に開発してきた。さまざまなパートナーとのコラボレーションを加速させることも視野に入れたプラットフォームには、人工知能に関連するさまざまな先端技術が統合されている。マイデイズにはその中から今回「先読みエンジン」と「多目的対話エンジン」が採用された。
マイデイズの先読みエンジンはその名の通り、ユーザーの“したいこと、知りたいこと”をAIが先読みしてくれるというもの。行動履歴の学習機能も統合しているので、端末が取得したGPSロケーション情報やカレンダー情報、現在時刻に端末の使用履歴などさまざまな情報を束ねて、ユーザーにとって有用なコンテンツをタイムリーに届けてくれる。
例えば「早め出発アラーム」をオンにしておけば、ユーザーの行動履歴を学習したマイデイズが天気や電車の運行状況などの情報を掛け合わせて“先読み”を行い、早めに目覚ましを鳴らしてくれる。
この他にもユーザーが自分の興味範囲では気が付かないコンテンツとの新たな出会いを促進したり、複数のステップにまたがる情報検索の手間を簡略化したり、あるいはウイットに富んだ雑談を楽しませてくれるところがマイデイズの特徴と、飯野氏が説明してくれた。
その仕組みについては「AIエージェントが持っているユーザー固有のファクト情報に加えて、AIがユーザーのプロファイルを解析しながら得た行動履歴情報、ドコモがオンラインのデータベースに保有しているファクト情報をミックスしながら、顧客イメージをより正確に描きこんでいる」のだという。そしてユーザーが使い込むほどに、マイデイズは賢くなっていく。
「AIエージェントが毎日ユーザーの側にいることができれば、その精度をさらに磨き上げられると考えました。スマホやタブレットでの利用を中心とした理由はここにあります」と大場氏が続ける。マイデイズが教えてくれる情報やコンテンツがユーザーの期待にどの程度マッチするのか、サービスインの後にもぜひ確かめてみたい。
マイデイズをさらに賢くする方法
ユーザーの自宅や頻繁に足を運ぶ職場、往来する交通手段として電車はどの路線を使うかなど、アプリの設定メニューから細かなユーザープロファイルを入力しておくと、マイデイズの精度はますます高くなる。
NOW画面に並ぶカード情報に1つずつレーティングを付けることも可能だ。まめにチェックしておくと理論的には役立つ情報だけが集まってくる。グルメなど特定の情報は自分にとって不要と判断したら設定メニューから非表示も選べる。
「日本語による自然な対話は、しゃべってコンシェルのころからドコモが独自に磨き上げてきたノウハウがあります」と飯野氏は胸を張る。NOW画面の下にはいつもマイデイズのキャラクターとチャット入力の画面が表示されていて、音声、またはテキストで対話ができる。
ただ、いくらマイデイズのチャット機能がスムーズだとしても、満員電車の中などでは音声入力は使いづらいので、レスポンスや精度を充実させたテキストチャット機能も合わせて訴求していく。
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