無計画な「とりあえず機械学習」から脱するには?:de:code 2018
「機械学習のプロジェクトは『何のためにやるのか』を明確に文章化できていないと失敗する」――日本マイクロソフトのエンジニア、畠山大有さんはそう力説する。依頼があった企業のプロジェクトに協力する中で“学び”があったという。
「機械学習のプロジェクトは『何のためにやるのか』を明確に文章化できていないと失敗する」――日本マイクロソフトが主催する開発者向けイベント「de:code 2018」で、同社の畠山大有さん(プリンシパルソフトウェア デベロップメント エンジニア)はそう力説した。
畠山さんらは、日本マイクロソフトへ依頼してきた企業のプロジェクトチームに入り、相手企業のエンジニアと協力してコードを書いたり、クラウドサービス「Microsoft Azure」の導入をサポートしたりしてきた。そうした中、機械学習を活用するプロジェクトの成功率を上げる“学び”があったという。
畠山さんが着目するポイントの1つは、プロジェクトの前提にある「クエスチョン」の部分だ。「極論を言えば、ビジネスの課題は何か、その課題を解決できればどう変わるかを明文化できていないと失敗する」。さらに「答えを知った後、どんなアクションをできるか」「どれほどもうかるか、コストを削減できるか」まで考える必要があると、畠山さんは指摘する。
例えば「壊れないように、マシンをどれくらい動かすか」というビジネス課題を想定すると、「このマシンが特定の時間に故障する確率はどれくらいか」といった具合に、期間や閾値を限定しなければ、そもそも機械学習を活用することができない。
そうして「故障する何日前に見極められれば、修理が間に合うか」などの具体的な条件を埋めていく。「(機械学習のプロジェクトを成功させるには)スペシフィックなところまで条件を掘り下げないといけない」(畠山さん)
その上で、例の場合だと、故障の確率が分かったとき、ビジネスになるか、コスト削減になるかを考え、検証だけで終わらないようにするのがコツ。顧客などから要望を受け取り、エンジニアがヒアリングする段階で注意しなければいけないという。
畠山さんが「顧客からAIを使って何かやりたい、上司から『何か分からないが、AIを使え』と要望を受けたことはないか」と質問を投げかけると、多数の聴講者が手を挙げた。
機械学習を使って何かを検証すること(Proof of Concept)は盛んだが、その繰り返しばかりで、一向に案件や成果につながらない――そんな“POC貧乏”が増えるのではないかと、畠山さんは危惧している。機械学習のプロジェクトを成功させるには、条件が特定可能、測定可能で、次のアクションにつながるかまでを強く意識する必要がありそうだ。
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