フィンテックで遅れる日本、打開策は「産官学」
「日本はFintech(フィンテック)の投資規模も、投資案件数も、欧米やアジア諸国に比べて遅れている」――総合コンサルティングのアクセンチュアは、2017年のフィンテック市場を分析し、日本についてこのように指摘している。フィンテックが盛んな国と日本の違いとは。
「日本はFintech(フィンテック)の投資規模も、投資案件数も、欧米やアジア諸国に比べて遅れている」――総合コンサルティングのアクセンチュアは、2017年のフィンテック市場を分析し、日本についてこのように指摘している。
フィンテックが盛んな国と日本の違いとは
17年のフィンテック市場規模は、全世界の投資額が約274億ドル、投資案件数が約2700件。投資額は13〜14年にかけて、48億ドルから133億ドルへ2倍以上に伸び、その後は直線的に伸びている。一方、投資案件数は14年以降加速度的に拡大を続けている。
フィンテックへの投資額が大きい国は、米国(113億ドル、949件)、イギリス(34億ドル、270件)、中国(28億ドル、146件)を筆頭として、インド(24億ドル、172件)、ドイツ(22億ドル、86件)、スウェーデン(9億ドル、71件)などが続く。
これらの国は、国内からの投資が主流の「フィンテック先進国」(米国、イギリス)、国内と海外からそれぞれ半々程度に投資を受ける「母体規模活用国」(中国、インド、インドネシア)、海外向けのスタートアップが集まる「フィンテック・ハブ国」(香港、シンガポール、ドイツ、フランスなど)に分けられる。しかし「日本はこのどれにも当てはまらない」と、アクセンチュアの村上隆文さん(マネジング・ディレクター)は指摘する。
日本の17年のフィンテック投資額は1億500万ドル、投資案件数は24件。他国に比べて寂しい数字だ。
日本のフィンテック投資規模や案件数が少ない理由について、村上さんは「日本の金融環境は海外に比べて恵まれている。海外でフィンテックが広まった、金融の一部を代替するサービスなどの需要が日本では少なかった」と分析している。
同社の中野将志さん(常務執行役員)は、日本で一般的に利用できる「口座引き落とし」機能を例に挙げ、「世界的には口座引き落としに対応している国は少ない。そういった国では口座引き落としの代替となるフィンテックサービスが活発に開発される」と、フィンテックが盛んな国と日本の金融環境の違いを指摘した。
日本市場活性化には「産官学」
既存の金融環境にある程度恵まれる日本が、フィンテックで今後巻き返すには何をすればいいのか。
村上さんは、「金融産業のプラットフォームの一新や他業種との高度な結び付き、金融による社会コストの削減などは日本でも大きなニーズがある」とした上で、「フィンテック・ハブ国を志向するべき」と日本市場発展の道筋を述べた。
「産官学の連携促進や、行政機能の民業促進、海外との連携強化といったことを進めることで、社会課題を解決するスタートアップが日本から登場する。その構造を学びに海外からも日本にスタートアップが集まる。集まったスタートアップには国内外から資金が流入する」(村上さん)
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