PCの内蔵スピーカーや近くにあるスピーカーから音を鳴らすだけでPCをクラッシュさせる――そんな攻撃が行われる可能性を、ミシガン大学や浙江大学などのセキュリティ研究者グループが実証したとして、ESETのセキュリティニュースサイト「welivesecurity」が注意を呼びかけている。
ESETによれば、この攻撃は「ブルーノート」と呼ばれ、超音波や可聴域の音を利用してHDD(ハードディスクドライブ)を攻撃する。音波でHDDの磁気ヘッドやプラッタを振動させ、ハードウェアに物理的なダメージを与えるという。
また研究者グループは、ブルーノート攻撃で狙われるのはPCだけでなく、監視カメラなどの可能性もあると指摘する。例えば監視カメラの映像を保存しているHDDレコーダーがブルーノート攻撃を受けた場合、HDDに録画データを書き込めなくなるという。
ESETは、HDDのように動く部品がないSSD(ソリッドステートドライブ)のPCであれば振動を受けても心配はないかもしれないが、「多くのデバイスがブルーノート攻撃を受ける可能性があるという事実は変わらない」と警告している。ブルーノート攻撃の対策について研究者グループは、HDDの磁気ヘッドが前後に振動するのを防ぐためのファームウェアのアップデートなどを提案しているという。
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