「海賊版・違法サイト使わないで」 小学館、全雑誌に広告掲載
漫画などの海賊版を有料・無料で配信する違法サイトを利用しないよう小学館が読者に呼び掛ける「NO! 海賊版・違法サイト」キャンペーンを、小学館が全社をあげて始める。
小学館は6月4日、漫画などの海賊版を有料・無料で配信する違法サイトの根絶を目指し、海賊版を買ったり読んだりしないよう読者に呼び掛ける「NO! 海賊版・違法サイト」キャンペーンを、全社をあげて始めると発表した。4日発売の漫画雑誌「ビッグコミックスピリッツ」を皮切りに、全雑誌・デジタル媒体に告知広告を掲載する。
同社はここ10年近くにわたり、海賊版サイトに侵害作品の削除要請をしており、月間1万5000ファイル、年間20万ファイル近い削除を行ってきたほか、警察の捜査などに協力してきたという。
一方で、「海賊版サイトを追い込むのにもっとも効果的なのは、サイトを見たり利用したりするユーザーをなくし、広告収入や会費といった収入源を断つこと」とし、海賊版サイトブロッキングに対して注目が集まっているこのタイミングで、キャンペーンを展開することにした。
「ビッグコミックスピリッツ」6月4日発売号には、連載中の「あさひなぐ」の主人公・東島旭が薙刀を手にしたイラストに、「曲がったことは嫌い。正々堂々です。」のコピーを添えた告知広告を掲載。同誌では今後、毎回異なるデザインの告知広告を載せる。「少年サンデー」6月13日発売号には「名探偵コナン」、「コロコロコミック」6月15日発売号には「ドラえもん」、「flowers」7月28日発売号には「ポーの一族」が登場するなど、各誌編集部が工夫を凝らした広告を掲載するという。
コミック誌での展開に続き、女性誌「CanCam」、ライフスタイル誌「DIME」、週刊誌「週刊ポスト」「女性セブン」などでも告知広告を順次掲載していく。
同社はWebサイトで「海賊版サイトは、クリエイターの収入に一切、貢献しない」「海賊版サイトのユーザーの急拡大は、出版社、取次各社、書店や電子書店など、出版物の流通にかかわるすべての経営に大きな影響を与えいる。その結果、クリエイターの収入が減って生活が不安定になれば、新たな作品を産み出すことができなくなってしまう」などと危機感を訴えている。
同キャンペーンのデザインやメッセージには、経済産業省、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の協力を受けている。
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