バーチャルキャラの生放送、現実空間で リアルタイム合成のAR、ドワンゴが開発
ドワンゴが、現実世界の映像にバーチャルキャラクターを合成し、屋外など場所を問わず、生放送番組に“出演”させられるAR(拡張現実)技術を開発した。
ドワンゴは6月25日、現実世界の映像にバーチャルキャラクターを合成し、屋外など場所を問わず、生放送番組に“出演”させられるAR(拡張現実)技術を開発したと発表した。同技術を活用し、バーチャルキャラ「電脳少女シロ」がゲームイベント「E3 2018」を現地レポートする生放送を15日に配信した。
生身の人間と同様に、バーチャルキャラが実際にその場に存在しているかのような映像をリアルタイムに生成し、生放送できる。現場から離れたところ(ドワンゴのスタジオ)にいる“中の人”が現場の映像を見ながら専用機材で合成するキャラを演じ、その動きがリアルタイムで反映される仕組みだ。
現地にはバーチャルキャラ(アバター)代わりになる三脚を設置。三脚にはキャラが映っている姿を確認するモニター、中の人の声を伝えるスピーカー、中の人にキャラ視点での光景を伝えるカメラの他、現地の照明環境を計測するセンサーを取り付けた。
現地の人がキャラ(三脚)と対面し、人間同士のように自然に対話している様子を、別のカメラマンが撮影。その場で映像にキャラをリアルタイム合成し、携帯電話ネットワークを活用して配信する。機材は全てバッテリーで動作するため、屋外も含め、自由に移動しながら撮影が可能という。
カメラや合成システムは、オペレーター1人でコントロールが可能。現地ディレクターとアシスタントを含めた数人のクルーで運用・配信できるとしている。
ドワンゴは、ゲーム開発などを行うインフィニットループ(北海道札幌市)と共同で、VR(仮想現実)空間でライブ配信やコミュニケーションを行えるサービス「バーチャルキャスト」(Virtual Cast)を提供するなど、バーチャルキャラが出演する動画や生放送の制作に注力している。ただ、その出演形式はバーチャル空間内に限定されたものだった。
新技術は、現実空間上で人間とバーチャルキャラが対話しているような動画を制作できるのが特徴で、現地レポートや旅番組といった演出が可能になるとしている。6月25日現在、特許を出願中という。
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