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AIが小説執筆、電子出版ベンチャーが大学と連携 「商業出版目指す」
電子出版ベンチャーのBooks&Companyが、AIによる小説執筆プロジェクトでカンボジアのキリロム工科大学と提携。商業出版できるレベルの小説の完成を目指す。
電子書籍の制作・配信・販売システム開発などを手掛けるBooks&Company(東京都千代田区)は6月25日、カンボジアのキリロム工科大学と5月に提携し、AI(人工知能)による小説執筆プロジェクトを開始したと発表した。商業出版できるレベルの小説の完成を目指す。
AIの小説執筆プロセスは、こうだ。まず、AIに教師データとなる著名作家の作品や、Webサイト、辞書データから収集した知識などを学習させる。その後、学習が適切かどうか、AIに質問し、修正するというやりとりを繰り返す。
自然言語処理でAIが文章の意味や意図を理解するようになったら、小説を執筆するための構造化データを付与。AIが小説の構造パターンを分析し、文章を生成するという。生成された小説が「作品」のクオリティーに達するまで修正を繰り返し、一定の品質に達したら人間による校正をして出版する――という計画だ。
現段階では、教師データをAIに学習させ、学習が適切かどうかをAIに質問して修正するところまでのトライアルが終了。今後、本格的な学習用データセットを用意し、コンピュータが自ら学習するディープラーニングを始める予定だ。
同社によると、パターン化を得意とするAIに過去の名作を学習させることで、ヒット作品を効率良く生み出すことが期待できるという。執筆用のソフトウェア開発が軌道に乗った段階で、映画やドラマ、ゲームシナリオの作成などの横展開も視野に入れるとしている。
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