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「GAFAの脅威」はあり得るのか(1/2 ページ)

Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字を取った「GAFA」。この4社による情報独占は果たして本当に危険なのか?

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 GAFAという言葉をご存じの方は、意外に少ないんじゃないかと思う。これはGoogle、Amazon、Facebook、Appleの4社の頭文字を取ったもので、この4企業が情報を独占することにより、他社が市場参入できない状況を、「GAFAの脅威」と呼ぶ。

この記事について

この記事は、毎週金曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年6月29日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額648円・税込)の申し込みはこちらから


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 日本国内で「GAFAの脅威」に言及が始まったのは、2016年8月に日経新聞の解説「ガーファを知ってますか」あたりが最初であろう。同年9月に公表された経産省「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書」にも、

GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のようなプラットフォーマーがデジタル市場で急成長を遂げており、その競争優位が固定され、支配的地位となってきている可能性が懸念されています。

との言及が見られる。しかしその後あまりこの懸念は顕在化せず、2017年12月27日にNHKが「崩せるか “GAFA”の牙城」という特集を放送してから、国内でもGAFAに言及するエントリーが増えてきたようだ。

 GAFA以前は、「GAFMAの脅威」と呼ばれていた。欠けているMは、Microsoftである。2012年あたりの言及では、主に出版業界に対する脅威として語られていたようだが、話はビジネスからモバイルベースでの個人情報独占へと変わっていった結果、4社が残ったというわけである。

 このテーマ、実はつい先日朝日新聞から取材を受けて、1時間ほどお話しさせていただいた。ただ新聞紙面なので、恐らく800字程度にまとめられてしまうだろう。せっかく喋ったのにもったいなので、その時の話をまとめてみたい。

日本人とITサービスの付き合い方

 普段からGAFAのサービスを使いまくっている人は、読者の中には相当あるだろう。個人的には、Appleを除いた3社のサービスはよく利用いている。iPhoneは使っているが、Appleのサービス自体はそれほど利用していない。バックアップ先として、iCloudを契約しているぐらいか。

 その一方で、検索はYahoo!、パソコンはWindows、買い物はヨドバシという人も、相当数いる。はっきり調査したわけではないが、年齢が高まるにしたがってこうした傾向は強まるものと思われる。筆者と同年代である50代の大半は、ほぼそうである。

 後者は保守派と呼んでも構わないと思うが、実はAppleを信奉してそれしか使わないユーザーも後者に入ると思っている。iPhoneとiPad、コンピュータはMacという組み合わせで過ごせば、かなり効率がいい。難しい設定も必要なく、iCloudが写真を同期してくれる。

 こうした挙動は革新的ではあるが、だからといってユーザー自身が革新的ということではない。革新的な企業のレールに乗っかっているだけで、Appleがコケるときには全員一斉にコケることは想像に難くない。

 またこうした保守派が、新しいサービスを使わないというわけではない。何のリテラシーもなしに突然メルカリに殺到し、あまりの民度の低さに生粋のネット民を驚愕させるというアンバランスさがある。要するにテレビCMなどの広告に弱いタイプとも言える。

 一方前者のGAFA派(Apple信奉者を除く)は、特に一社のサービスに依存しているわけではなく、基本的にはそれほどこだわりはないというのが特徴だ。例えばGoogleやAmazonのやることを心から信頼しているわけではなく、ちょっと怪しみながらも便利に使わせてもらっている、そういうスタンスではなかろうか。ブラウザにしても、ChromeとIEとFirefoxを行ったり来たりしているような、ネットサービスの浮沈を何度も経験した結果、斜に構えたところがあるように思う。

 日本のIT利用者の特徴として、GAFA派と保守派は交わらないし、今後も交わることはなく、何か大きな社会変化が起こらない限りはずっと分かれたままだろう。それぞれが今の環境に満足しているから、変わる必要がないのである。

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