未来のバイクか カンガルーっぽい変形ロボット「CanguRo」
千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター(fuRo)が、搭乗型の変形ロボット・RideRoid(ライドロイド)シリーズ「CanguRo」を開発した。
千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)は7月4日、搭乗型の変形ロボット・RideRoid(ライドロイド)シリーズの新型機「CanguRo」(カングーロ)を開発したと発表した。人に伴走するロイド(ロボット)モードと、バイクのようにまたがって運転できるライド(乗り物)モードに変形できる。
fuRoとプロダクトデザイナーの山中俊治さんが企画・開発。CanguRoはイタリア語でカンガルーを意味し、名前通り本体正面はカンガルーの顔のようなデザインに仕上げた。全長はロイドモードだと550ミリ、ライドモードだと750ミリで、重量は64キロ。バッテリーはロボット用リチウムフェライトバッテリー(Li-Fe)を使用した。時速10キロで移動できる。
ロイドモードでは、人に伴走する自動追従機能を搭載。伴走されても違和感がないよう、全幅は男性の肩幅600ミリより小さい440ミリに抑えた。センサー類は、3次元レーザーセンサー、広角カメラ、後部距離センサーなどを備え、fuRo独自のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術「scanSLAM」を活用し、タブレット上でリアルタイムに地図生成と自己位置推定を行う。マップ上の特定位置をタップすれば、CanguRoが自律移動するという。
ライドモードでは、搭乗者がバイクのようにサドルにまたがりハンドルを回して速度を調整できる。搭乗者の体の傾きを検知して旋回し、カメラとセンサーを活用して障害物検知や自動ブレーキも行う。インホイールの駆動ユニットは小型・軽量化を目指し、薄型1段構成かつ高効率な減速機、専用モーターと角度センサーを日本トムソンと共同開発した。本体には振動スピーカーを内蔵し、車速に合わせて心臓の鼓動がなるようにドクンドクンと振動をフィードバックするという。
AI時代の乗り物の姿?
CanguRoのコンセプトメーク・開発リーダーを務めた、fuRoの古田貴之さんは、「テーマは、AI時代のイノベーティブな乗り物。乗り物の定義を変えたい」と話す。CanguRoを開発する上で参考にしたのは、人と馬の関係だったという。「馬は乗りものであると同時にパートナーでもある。ロイドモードでは荷物運びで買い物を支援してくれる」(古田さん)
プロダクトデザイナー山中俊治さんは、「デザインでは人間の拡張をイメージした。構造自体が美しく分かりやすく、人との関わりがよく分かる表現になるよう意識している」と説明。カンガルーの顔中央の目に当たる部分に、自動運転システムのセンサーなどに用いられるライダー(LiDAR)を内蔵するなど工夫したという。
現時点では、公道を走るなどの具体的なユースケースは想定していないという。8月15日に米ロサンゼルスで開催される外務省の展示企画「ジャパンハウス」で、CanguRoのデモンストレーションを実施する予定。
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