釣り人から集めた写真300万枚、人力でタグ付け AIが魚を判別するアプリ「フィッシュ」はこうして生まれた(2/2 ページ)
AI(人工知能)技術を活用し、写真から魚の種類を判別するスマートフォンアプリ「フィッシュ」が登場した。釣り人から集めた約300万点の写真をAIに学習させるために、写真1枚1枚に人力でタグを付けたという。「気が遠くなる作業だったのでは?」――開発スタッフに聞いてみたところ……。
魚種を判別するアプリは、どのような場所で使われるだろうか――。開発スタッフは、海や川など野外の水辺、水族館などを想定。そうした場所では、周囲が明るい・暗い、背景に魚以外のものがごちゃごちゃと写り込む、といった状況になると考えた。そのため条件が異なるさまざまな画像をAIに学習させる必要があった。
「魚種ごとに、一緒に映り込む可能性の高いもの、フラッシュの使用有無などを考慮した。例えば、ブラックバスは(サイズを測る)メジャーと一緒によく撮影される。メバルは夜釣りで狙うことが多いので、フラッシュを使用して撮影することが多い」
こうした苦労があり完成したアプリは、魚の他、イカ、タコなども見分ける。魚種以外に、生きているか死んでいるかなどの情報のタグ付けも始めた。スズキなど一部の魚ではAIが生死を判別できるという。
「釣りをアップデートしていきたい」
同社の開発スタッフは「釣りをはじめ、海や川でのレジャーをより気軽で安全に楽しむツールを作りたい」と意気込む。開発したAI技術のAPIを他社へも提供。魚市場では、これまで人力だった魚の振り分け作業を自動化したり、水族館では、来場者が魚について楽しく学べるツールを用意したり――といった活用を見込む。
この他、特定の企業向けにオリジナルの魚種判別ツールを開発した。今後は魚と関係がない画像を判別するAIの企画や開発なども検討する。「今後も当社のテクノロジーとエンターテインメントの力を生かし、釣りをアップデートしていきたい」
関連記事
- 「すごすぎる」――地方のパン屋が“AIレジ”で超絶進化 足かけ10年、たった20人の開発会社の苦労の物語
焼きたての手づくりパンをレジに持っていくと、画像認識で瞬時に会計……そんな“AIレジ”が地方のパン屋にじわりと浸透している。その裏側にはシステム開発会社の苦闘の歴史があった。 - 強すぎて「会場がシーンと……」 クイズ王を圧倒した“早押しAI”の衝撃
あまりの強さに人間のクイズ王が「狐につままれたようだ」と漏らすほどの“早押しクイズAI”は、日本人エンジニアが開発した。 - 「もう自分では勝てません」 28歳の東大院生が最強の麻雀AIを作るまで
将棋や囲碁ではAIが人間のトッププロを超えたといわれている。運の要素がある麻雀にもAIの波が。麻雀AIは人間を超えられるのか。 - 仕事をサボりたい漫画家、AIの自動着色に目覚める
「できるだけ楽をしてお金を稼ぎたい」。そんな身もふたもないことを堂々と宣言する漫画家が楽しく仕事をサボれるITツールを試していく、そんな連載です。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.